「文章題が苦手!」「図を書くと算数ができるようになるの?」という小学生・保護者の方へ。この記事は「図を書くと算数ができるようになる理由」を講師歴20年の管理人が説明するシリーズの2回目です。
前回までのあらすじ
こんにちは!「そうちゃ」@zky_tutor(プロフィール)です。
前回の記事で、問題の答えを出すというのは、見る→考える→図を書くを繰り返していく螺旋状のプロセス(RCDサイクル)だと述べました。
では、文章題が苦手な生徒さんはどこでつまづいているのでしょうか?
えっ!? 何!? その式?!
そもそも、入試問題ならともかく、小学3・4年生の文章題は文章も状況も非常に単純です。
そのため、大人のあなたからすると、
問題を見る
↓
分かる・イメージする
↓
立式して解答
こういうプロセスでサッと正解できるよね?
(*^ー゚)b
と思いがちなので…
お子さんがいきなりチンプンカンプンな式を書き出してワケのワカラナイ答えを回答欄に書くと
キーーーッ!!
(#゚Д゚)
となってしまうのですね
(その気持、よく分かりますwでも怒らないであげて下さいね)
どこがダメなのか?
小2・3の問題では、第1段階の「見る・読む」が出来ていない生徒さんはほとんどいません。(音読させてみれば分かります)
しかし、その次の「理解する・考える」で、大きく差がついています!
例えば、「8dLと1Lのジュースを大きな容器に移して3人で分けると一人分は何dLですか?」という問題をはじめて解いたとします。
出来る子は「多い量と少ない量を一つにまとめて(つまり、足し算)それ3つに分けるんだなぁ(つまり、割り算)」とぼんやりしたイメージを考えて立式をします
一方、出来ない子は「大きな容器に移す」という日本語から「一つにまとめる」という連想をすることができずに…
「8×1」なんていう式を書き始めたり
(^_^;)
または、8「dL」と1「L」の大小関係をイメージできずに…
「(8+1)÷3=3」なんて答えを出したりします
(>_<)
この差は生まれつきの頭の良さ、も多少はあります
が
それまでの人生で「大と小の複数の量を単一にまとめた後、分配する」という操作を「意識的に行った経験」の有無によるところが大きいです。
ですから、出来ない子は「あれ?よく分かんない」と感じた時点で無理に式を立てないで、
落ち着いて問題文の状況を絵(図でなくて、落書きのような絵で良い)にしてみれよいのです。
そうすれば、不足していた「意識的な経験」が補われて「ああ、大きい量と小さい量を足して、それを3で割ればいいんだなぁ」と気づいて正しい立式ができたのですね。
図=疑似体験
これで、文章題ができるようになるために何をすれば良いか分かりますね。
それは「できるだけ多くの問題を図や絵にしてみること」です
答えを出せない問題は当然として、答えが出せる問題も絵(図でなくても良いです)を書きましょう。
問題の状況を図にすることで実際に数量操作をしているような体験ができるので、理解しやすいだけでなく、数量操作の経験値を増やす事が出来ますからね。
図を書く=数量操作の疑似体験なんですね。
図を書くコツ
図を書く意味が理解していただけたと思いますので、
次は、どのように書くかです。
コツは「楽しく」書くことです。
例えば、好きな漫画やゲームのキャラクターを使ったりなど、その子が楽しめるような書き方をさせてあげましょう。
大事なのは算数の文章題を解くと楽しい時間が過ごせるということを実感させる事!
大人のあなたも、子供の頃の習い事で「かっこいいユニフォーム」「オシャレな道具」を使うこと自体が楽しかった思い出がありませんか?
算数の場合、「図」がその役割を果たしてくれるんですよ。
ちなみに、私が個別の授業を引き受ける際には授業前の面談や電話で必ず、好きな漫画やゲームと好きなキャラクターを聞いておきます。
そして授業までにそれらのキャラクターを描けるように練習しておきますw
図の「描き方」を教える
そうは言っても、絵が苦手なお子さんはどう書いてよいか分からないこともあります。(連想が弱いお子さんは筆が「重い」事が多いです)
そこで、大人が見本を見せてあげる事が必要になります。
参考記事「図とイメージ」
生徒さんによっては(低学年のお子さんや極度に算数嫌いのお子さん)はじめは具象的な絵の方が良いでしょう。(コップとか人間とか)
そしてだんだん慣れてきたら線分図(テープ図)の書き方を見せて、具体的な数量操作が線分図に込められていることを理解させます。
その時に後々(中学受験)まで使える一貫した書き方のルールを教えてあげればお子さんの一生の財産になること間違いなし!
「一生の財産」って大げさと思うかもしれませんが、本当なんですよ!!
図を描くことの効果
お子さんがそれまで知らなかった「図の描き方」を教わり、それを反復練習して手と頭で覚えることによって遅かれ早かれ、大なり小なり頭脳に変化が生じてきます。
情報を認識・整理する回路が頭の中に作られて今まで何となく行ってきた日常の動作や作業の数量的な意味が自然と連想されるようになります。
一言で言えば「ものの見方」が変わります。
すると、何をするにも「意識的な」数量操作の経験になりますから、日常生活で算数の頭が大なり小なり鍛えられていきます。
端的に言うと、図を書く練習をすれば、「頭が良くなる」「理解力が高くなる」ということです♪
「理解力が高い」のは、「物事を整理する力が高い」ということでもあるので、図を書けるようになれば算数だけでなく、他の教科を学習する能力も高くなることも期待できます。
実際、算数の問題の意味を図にして説明できるお子さんは国語の成績も良いことがほとんどです。
(ただ、そういうお子さんは暗記が嫌いな事が多いので暗記科目でで苦戦することはあります)
「図の描き方」は一生の財産
このように、正しい図の描き方を覚えるというのは、その後の学業、ひいてはその後の一生に大きな利益をもたらす「武器」になります。
このブログでは「一生の財産になる」線分図の描き方をわかりやすくお伝えできる事を目標に精進して参ります。