中学受験生で「場合の数がわからない…」という方へ。
確かに、場合の数には非常に多くの種類の問題がありますね。しかし共通して使う「基本ルール」は3個ほどしかありません!
この基本ルールをしっかり憶えてから、各種の問題に取り組めば「場合の数がわからない!」ということはなくなります。
この記事では東大卒講師歴20年の図解講師「そうちゃ」が場合の数で使う基本ルールを分かりやすく説明します。
記事を真似して例題を解けば基本ルールを定着できますよ♪
場合の数には二種類ある
場合の数には非常に多くの種類の問題がありますが、使うルールは大きく分けてこの2つです。
●ならべ方(順列)
(例)ABCDE5人から3人を並べたイスに座らせる
(例)30人のクラスで委員長・副委員長・書紀を決める
●えらび方(組み合わせ)
(例)ABCDE5人から仲間を3人を選ぶ
(例)30人のクラスで代表を3人決める
問題を解く時は「えらび方」か「ならべ方」かを考えれば計算方法も決まります。
確認テスト
「ならべ方」か「えらび方」のどちらか答えなさい
(2021.3.28作成中)
ならべ方
全員を並べかえる
何人かを並びかえるやり方が何通りあるか考えます。
例えば、横に並んだイスXYZにABC3人を座らせる場合を考えます
書き出して調べる(樹形図)
XYZの順に誰が座るかを書き出して調べるやり方。
Xに座るのはABC3人のうち誰かなので3つの場合があります。
XにAが座った場合、Yに座るのはBCのどちらかです。
YにBが座った場合Zには自動的にCが座ります。
一番上に、「ABC」と並んでおり、これは「XにA,YにB,ZにC」と座ったことを意味しています。
また一番上の段にイスの名が(X)(Y)(Z)と書いてあります。これを「項目名」と呼びます。この項目を書くのを忘れないようにして下さい。
同じ様に残りを全部書くとこうなります
右端の「枝」の数が何通りかを示します。この場合は6通りです。
計算で出す
計算で出すこともできます。さっきの樹形図の「項目」ごとに何通りあるかを考えて、かけ算します。
Xに座るのはA,B,Cのいずれかで3通り、Yに座るのはXに座らなかった2人のいずれかで2通り、Zに座るのはXにもYにも座らなかった人で1通り
以上より、3×2×1=6通りです(樹形図と同じになりました)
小まとめ
→N個のもの全部を並べかえる場合の数
=N×(N-1)×(N-2)…×1
(例)3個のモノを並べかえる
=3×2×1=6通り
◇樹形図で調べる
一部をならびかえる
さっきは全員を並び替えましたが、今度は何人かをえらんで並びかえます。
例えば、横に並んだイスXYZにABCDE5人から3人を座らせる場合を考えます
樹形図
項目を書いてXから書いていきます
一番上が出来ました。
途中を省略する
同じ形と予想がつくので、人は書かずに枝の形だけを書きます。
これで太い枝Aから出る細い枝は12本と分かるので、小計として12と書いておきます。
Bの下はAを同じだろうと想像がつくので、枝の形すら書かずに小計だけを書きます。
大きなカタマリが5つあって、それぞれに12本の枝があるのが分かります。
したがって12×5=60通り
計算
5×4×3=60通り
小まとめ
ここまでのならべ方の求め方をまとめておきます。
→N個のもの全部を並べかえる場合の数
=N×(N-1)×(N-2)…×1
(例)5個のモノ全部を並べかえる
=5×4×3×2×1=120通り
◇樹形図で調べる
→N個からM個えらんで並べかえる場合
=N×(N-1)×…×(N-M+1)
=➀×(②1)×…×(N-M+1)
(例)5個から3個えらんで並べかえる
=5×4×3=60通り
=➀ ② ③
◇樹形図で調べる
練習問題で定着♪
作成中
えらび方
今度はABCDE5人がイスでなくカーペットで休憩します。座る場所は自由なので、誰が座るかをえらべばOKです。
他の例。帽子をかぶる。
このように場所による区別や順番が無い場合が「えらび方」です。
1人選ぶ
1人だけ座れる場合、5通り
2人選ぶ
2人座れる場合
今度は「A」「B」「C」「D」「E」5人から2人を選ぶ場合を考えます。
左から右に向かって2人を選んでいきます(「A-B」はOKですが「B-A」はダメ!です)
4+3+2+1=10通り になります。
ここまでの公式化
4種類から2種類選ぶと3+2+1=6通り
5種類から2種類選ぶと4+3+2+1=10通り なので
N個から2個選ぶ場合の数は、(N-1)+(N-2)+…+1 になると分かります。
●N個から2個選ぶ
→(N-1)+(N-2)+…+1 通り
(例1)5種類から2種類選ぶ
→4+3+2+1=10通り
(例2)10種類から2種類選ぶ
→9+8+7+…+3+2+1=45通り
3人以上選ぶ(裏技)
数え上げ
ABCDE5人から3人を選ぶ場合、同じように左から右へ選んでいきます(ABCは良いが、ACBやBCAはダメ)
((図))
大変ですね。
裏技
ちょっとした裏技が使える場合があります。
上の例で答えが10通りでしたが、これは「5人から2人を選ぶ」問題と答えが同じになっていました。
((図))
つまり「5人から休憩する3人を選ぶ」のと「5人から休憩しない2人を選ぶ」のは同じということです。
同様に「10人から6人選ぶ」と「10人から4人選ぶ」、「100人から99人選ぶ」と「100人から1人選ぶ」は等しくなるので、選ぶ人数が少ない方を求めれば良いのです。
この裏技を使えば、「3個以上を選ぶ」問題を「2個を選ぶ」問題にできることが結構あります。
確認テスト
8人から6人選ぶのは何通りあるか?
→( 「8人から6人選ぶ」は8-6=2なので「8人から2人選ぶ」と等しい )
→( 7+6+5+4+3+2+1=28通り )
小まとめ
ここまでの「えらび方」をまとめておきます。小4受験生まではこれだけでも良いでしょう。
●N個から1個選ぶ
→N通り
●N個から2個選ぶ
→(N-1)+(N-2)+…+1 通り
→4+3+2+1=10通り
→9+8+7+…+3+2+1=45通り
●N個からM個選ぶ(裏技)
→N–M=2なら、2個選ぶ公式が使える
5–3=2なので、5個から2個選ぶのと同じ
→4+3+2+1=10通り
10–8=2なので、10個から2個選ぶのと同じ
→9+8+7+…+3+2+1=45通り
3人以上選ぶ(計算)
上の裏技が使えない場合に計算で出す方法です。
例えばABCDEF6人から3人を座らせる場合です。
並べかえとの違い
ここで「一部ならべかえ」の公式を思い出します。こうでした。
→N個からM個えらんで並べかえる場合
=N×(N-1)×…×(N-M+1)
=➀×(②1)×…×(N-M+1)
(例)5個から3個えらんで並べかえる
=5×4×3=6通り
=➀ ② ③
◇樹形図で調べる
((樹形図))
この公式は使えません。
なぜなら60個のうち、同じ「組み合わせ」が入っているからです。
たとえば「ABC」の組み合わせを「ABC」「ACB」「BAC」「BCA」「CAB」「CBA」と6回数えています。
(図)
他の組み合わせも同じなので、結局「一部ならべかえ」は「えらび方」は6倍も数えてしまっている。
÷6すればよい。60を÷6した10通りが答えになります。
これは5人から2人を選ぶ場合も同様です。
5人から2人をえらんで並び替える「一部並び替え」は5×4=20通りですが
これは同じ組み合わせを2回ずつ数えている。
((図))
20÷2=10通りが正しい答え。
このように、
「一部並べかえ」の答えを、
同じ組み合わせを重複して数えている回数で割る
→5個から2個えらんで並び替えの答え5×4を
重複カウントの回数2で割って、5×4÷2=10
→6個から3個えらんで並びかえの答え6×5×4を
重複カウントの回数6で割って、5×4÷2=10
重複カウントの回数
重複カウントは「全部ならびかえ」の答えと同じになります。
例えば2個選ぶ場合は、重複カウントは2個全部のならびかえの数なので、2×1=2回 です。
3個選ぶ場合は、重複カウントは3×2×1=6回
4個選ぶ場合は、重複カウントは4×3×2×1=24回
これらの数が公式の分母(割る数なので)になります。
公式化
結局、どのような場合でも使える「えらび方」の公式はこうなります。公式を憶えるというよりも、(例)から式を作ることができればOKです。
●N個から2個えらぶ→N×(N-1)2 × 1
●N個から3個えらぶ→N×(N-1)×(N-2)3 × 2 × 1
●N個から4個えらぶ→N×(N-1)×(N-2)×(N-3)4 × 3 × 2 × 1
基本ルールのまとめ
基本ルールが出揃ったので、まとめておきます。
◆全部並べかえ
N個のもの全部を並べかえる場合の数
=N×(N-1)×(N-2)…×1
=3×2×1=6通り
◆一部ならべかえ
N個からM個えらんで並べかえる場合
=N×(N-1)×…×(N-M+1)
=➀×(②1)×…×(N-M+1)
=5×4×3=6通り
=➀ ② ③
●N個から2個えらぶ→N×(N-1)2 × 1
●N個から3個えらぶ→N×(N-1)×(N-2)3 × 2 × 1
●N個から4個えらぶ→N×(N-1)×(N-2)×(N-3)4 × 3 × 2 × 1
練習
場合の数同士の関係(和と積の法則)
問題を解いていて場合の数が2つ出た場合に、その2つの数字をどうすれば答えになるのか(足すのか掛けるのか)迷うことがあります。
基本的な考え方
2つの場合の数の関係を考えて、「そして」や「かつ」ならかけ算(積)にします。上で出てきたならべ方がこちらでした。2つの場合の数が「あるいは」や「または」なら足し算(和)にします。
たとえば、長ズボンが3通り、半ズボンが2通りある場合の服装の場合の数を考えると、長ズボン「または」半ズボンを履きますね?よってズボンの履き方(ファッション♪)は和:3+2=5通りになります。
一方、長ズボンが3種類・上着が4種類の場合は、長ズボン「そして」くつを履きますね?よって服装の場合の数は積:3×4=12通りになります。
樹形図を想像しても良いでしょう。
長ズボンと半ズボンの場合はこういう図になります。
項目が(ズボン)一つしかありません。
二番目の場合はこういう図になります。項目が(ズボン)と(上着)と二つ並んでいます。
このように項目が2つになる場合は積(かけ算)になると覚えても良いでしょう。
場合の数が2つ出てきた場合
●両立しない場合(または)→たし算する
(例)長ズボン3種類と半ズボン2種類
→全部で3+2=5通りのファッション
●両立する場合(そして)→かけ算する
(例)長ズボン3種類と上着4種類
→全部で3×4=12通りのファッション
組み合わせ
3つの場合の数が出てきた場合は、和と積を組み合わせて答えを出します。
1-1:和と積の法則
解説
ズボンは長ズボン「または」半ズボンなので「和」3+2=5通り
上着は同時に着れる「かつ」なので(積)x4になる
以上より(3+2)x4=20通り
さらに条件を付け足してみましょう
1-2:和と積の法則
解説
ズボンと上着で(3+2)x4=20通り までは先程と同じ
サングラスは「かけない」と合わせて3通りで、ズボンとも上着とも同時に着れるので「積」x3 になる。
以上から、(3+2)x4x3=60通りです
も入れて3通り
確認テスト
(2021.3.28作成中)
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