中学受験生で「ニュートン算て何?!」という小4の方から「ニュートン算習ったけど全然分かんない…」という小5・小6の方へ
確かに「ニュートン」という名前!が難しそうで、解答に使う理屈もやや複雑なので苦手な人が多いんです…
でも、他の特殊算と同じように問題のパターンは限られていて(3つとちょっと)、5年までにそのうち2つができれば大丈夫です(残りのパターンは入試までの間にできるようにすればOK♪)
2つのパターンを出来れば良いと考えると気がラクになりませんか?(なりましたよね)
塾で習っても分からなかった人は「塾の教え方が悪かったんだ」と思って、この記事で学びなおしましょう!
この記事では東大卒講師歴20年の図解講師「そうちゃ」がニュートン算の基礎から応用問題まで分かりやすく解説します。
記事を読んで例題を解けばニュートン算が得意になっていることでしょう
目次(クリックでジャンプ)
ニュートン算とは
ニュートン算は○○算の一種
さっそくニュートン算の基礎問題を見て下さい(見るだけでいいですよ♪)
0-1:ニュートン算(基礎)

これがニュートン算の基礎問題です
この問題は溜まった水を減らすという「仕事算」です。つまりニュートン算は仕事算の一種です。
ちなみに仕事算の公式はこうでした。
(例)50個のクッキーを10日で食べる「仕事」
→仕事の量は50個。時間は10日。
→食べるペースは50÷10=5個/日
●仕事量(50)=ペース(5)×時間(10)
●時間(10)=仕事量(50)÷ペース(5)
●ペース(5)=仕事量(50)÷時間(10)
忘れたという人は参考記事「仕事算まとめ」を読んで下さい。
「差し引き」でペースを決める
さっきの問題をもう一度
毎分3Lの水を出す排水口がある水そうに毎分2Lの水を入れていき、30Lの水がたまったところで、蛇口から水を出したまま排水溝を1つ開きます。水は何分でなくなるか?
この問題では単純に水を減らすのではなく、「水を入れながら出す」というプラスとマイナスの仕事を同時に行っています。
仕事算の応用問題で、プラスとマイナスが同時に行われている場合に「差し引き」の考え方を使いました。
仕事算の一種であるニュートン算でも、この差し引きの考えを使います。
この問題で差し引きの考えを使うと「2Lの水を入れながら3Lの水を出すのは3-2=1Lの水を出すのと同じ」と言えます。
「1L/分で排水する」のと同じ
つまり、この問題での水が実際に減るペースは1L/分ということです。
よって30Lの水を全部出すのには仕事算の公式「時間=仕事量÷ペース」で30÷1=30分かかると分かります。
このように、ニュートン算は実際のペースが単純に決まらず「差し引き」をしないといけません。
→「増やすペース」と「減らすペース」を
「差し引き」して決める
(例1)2L/分で注水しながら3L/分で排水する
→水が実際に減るペースは差し引き3-2=1L/分
(例2)毎日100円貯金するが、毎日30円づつ使う
→お金が実際に増えるペースは差し引き100-30=70円/日
次の日、同じように水そうに水を入れ30Lたまったところで、蛇口は開いたまま排水溝を2つとも開きました。今度は何分で水そうは空になるでしょう?
注意!
排水口の数が2つ(2倍)になれば、空になる時間は半分のような気もしますが…
さっきと同じ差し引きの考え方を使います。
2L入れながら3×2=6L出すので、実際には差し引き6-2=4Lの水を出すのと同じです。
「4L/分で排水する」のと同じ
水が空になる時間は30÷4=7.5分後=7分30秒後です。
始めの場合と比べると、排水口の数は2倍になったのに、水の出し入れを差し引きした結果は「3-2=1」から「(3×2-2)=4」で4倍にもなっています!
もし排水口が3つあったら差し引きの結果は(3×3)-2=7で7倍に、4つあったら(3×4)-2=10で何と10倍に!なります
→「増やすペース」と「減らすペース」(いくつかあることも)
を「差し引き」して決める
(例1)2L/分で注水しながら3L/分の排水口2つで排水
→水が実際に減るペースは差し引き(3×2)-2=4L/分
(例2)2L/分の蛇口2つで注水しながら、
3L/分の排水口3つで排水
→水が実際に減るペースは差し引き(3×3)-(2×2)=5L/分
○○算との違い~3つのキー
このように溜まっているモノを「差し引き」のペースで減らしてゼロにするのが「ニュートン算」です。
ここまででニュートン算には重要な3つの数字が出てきました。
①最初の量(溜まっていた水)
②増やすペース(1つの蛇口の注水ペース)
③減らすペース(1つの排水口の排水ペース)
で、これらを「3つのキー(key:鍵)」と呼びましょう。
ニュートン算の基礎問題では、この3つのキー全てが分かっていたので、仕事算とあまり変わりませでしたが、
普通はこの3つのキーのうち分からないものがあって、分からないキーを求めること自体が問題になっているのがニュートン算の特徴です。
→仕事算の一種で、
差し引きしたペースで減らしていく問題
●出てくる3つのキー
➀最初の量(溜まっている水)
➁増やすペース(蛇口から注水)
③減らすペース(排水口から排水)
★普通は3つのキーのどれかが分からず、
まずそれを求めないといけない
●「実際のペース」はキー②とキー③の差し引きで決める
(例)2L/分の蛇口4つで注水しながら、
3L/分の排水口5つで排水
→水が実際に減るペースは差し引き(3x5)-(2×4)=7L/分
●ニュートン算の公式(仕事算改)
・実際のペース=③減らすペースx個数-➁増やすペースx個数
・時間=最初の量÷実際の実際のペース
この後は、
・3つのキーのうち1つが分からない場合を「基本」
・2つが分からない場合を「標準」
・3つとも!分からない場合を「応用」
という分類で、問題を解いていきます。
ニュートン算(1)基本問題
ニュートン算の3つのキー、①最初の量②増やすペース③減らすペース のうち1つ(普通は③)が分からない場合
仕事算の延長として解く
例題
60Lの水が入った水そうに蛇口から3L/分で注水しながら、2つの排水口から排水したら4分で空になった。排水口1つでは毎分何L排水するか
仕事算の公式「ペース=仕事÷時間」で60÷4=15で、実際に減るペースが15L/分と分かりますが、
この実際のペースは1分間で注水される量(3L)と排水される量の差し引きの結果です。
つまり、1つの排水口から出る水の量を□とすると、
「(□×2)–3=15」
が成り立つことになる。
この逆算を解けば、排水口1つが排水する量は □=9L/分と分かります。
以上の解き方でも基本はいけるのですが、この後の標準・応用問題ではキツくなります。
そこで「線分図を使った解き方」もマスターしましょう
計算は同じですが難しい問題にも対応でき、入試問題も全部解けます♪
線分図を使って解く
例題
60Lの水が入った水そうに蛇口から3L/分で注水しながら、2つの排水口から排水したら4分で空になった。
(1)排水口1つでは毎分何L排水するか
(2)排水口を3つにしたら何分で空になるか
①最初にあった水は60L(最初の量) です。
また、②4分間で蛇口から出た水の量は3×4=12L(増えた量)
さらに③排水口から出た合計は□×2×4=8です(減らした量)
この①②③の間には
③減らした量=①最初の量+②増えた量
の関係が成り立ちます。
この問題では「8=60L+12L」になります。これを線分図にするとこうなります。
あとは分配算の要領で8=72→1=9L と分かります。
排水口から出る水の量9L/分
(2)すべてのペースが分かったら、あとは差し引きの仕事算として解きます。
排水口を4つにすると、減らすペースは9×3=27L/分になります。
ここに毎分3Lの水を注ぐので、差し引きして27-3=24が実際に減るペースと分かります。
したがって、水が無くなるのにかかる時間は60÷24=6024=212分=2分30秒です
このように、3つのキー全てが分かるまでは線分図を書き、3つのキーが分かったら仕事算で解く、というのがニュートン算の解法です。
●3つのキー
①最初の量 ②増やすペース ③減らすペース
●3つの量(空になるまでの時間=T)
➊最初の量(①そのもの)
❷増やした量(②増ペース×T)
❸減らした量(③減ペース×T)
●3つのキー・量の関係
❸減らした量=➊最初の量+❷増やした量
(③減ペース×T)=①最初の量+(②増ペース×T)
練習問題1
増やすペースが分からない場合
練習問題2
はじめの量が分からない場合
ニュートン算(2)標準問題
ニュートン算の3つのキー ①最初の量②増やすペース量③減らすペース のうち2つ(普通は②と③)が分からない場合
3-1:ニュートン算の標準問題
方針
ニュートン算の3つのキー・量の関係を使います
❸減らした量=➊最初の量+❷増やした量
(③減ペース×T)=①最初の量+(②増ペース×T)
解説
この問題では、2つの場合が書いてある(A:T=10分で空になった場合、B:T=6分で空になった場合)ので、注水ペースを①、排水口1つの排水ペースを1として、それぞれで「(③減ペース×T)=①最初の量+(②増ペース×T)」の関係式を作るとこうなります。
A:1×2個×10分=60+(①×10分)
B:1×3個×6分=60+(①×6分)
これを少し整理するとこうなって、
A:20=60+⑩
B:18=60+⑥
線分図にするとこうなります。
3つの量の関係を1つの線分図に合わせる
この線分図のオレンジ色の部分は④=8の関係になっているので、①=2と分かります。
これで□を○で表すことができるので、○に書き換えます
すると、60L=㉚なので①=2,1=4と分かりました。
別解
線分図が苦手な場合は
A:20=60+⑩
B:18=60+⑥
これを消去算にして解いても良いでしょう
Aの式とBの式の差を出すと「2=④」になるので、全体を÷2して「1=②」と分かります。
これを20倍した「20=㊵」をAの式に入れると「㊵=60+⑩」になるので㉚=60から①=2、1=②=4と分かります。
このように、2つのキーが分からない標準問題には2つの文章があるはずなので、それぞれを関係式にして線分図か消去算にして分からないキーを求めれば良いのです。
練習問題1
キー1と2が分からない場合
練習問題2
キー1と3が分からない場合
ニュートン算(3)応用問題
ニュートン算の3つのキー ①最初の量②増やすペース量③減らすペース のうち全部が!分からない場合です
ほぼ標準問題と同じですが、途中で難しいところが1つあります。
さっそく例題を解いてみましょう
(作成中2022.1.20)
いろいろな具体例
水そうの水を減らす場合以外のニュートン算を見ていきます。
問題文に出てくる数値のうち、3つのキー①最初の量②増やすペース③減らすペース にあたるのはどれかが分かれば計算は全く同じです。
映画館の行列!
Xさんは映画館でアルバイトをしています。明日、人気アニメ「屠龍の剣」の映画の入場口でお客さんのチケットを半分切り取って残り半分を渡して入場させる仕事をすることになりました。
映画を見に来た人達はチケットを買って入場口に並びます。さすが人気アニメだけあって入場時刻になる前からすでに人が並んでいます。さらにどんどん人が加わるので列がだんだん長くなっていきます。
((0分時の状況図:青の行列と赤の新入客))
いったい何人の列が出来たんだろう?Xさんが人数を数えたくなったちょうどその時に入場開始のアナウンスがあって、列の先頭の人が入場口でXさんにチケットを差し出して仕事が始まりました。
Xさんはお客さんのチケットを手際よく処理して入場させますが、後からやってきた人が後ろにどんどん並ぶんでくるので列は少しづつしか減っていきません…
やっと列が完全になくなりました。時計を見ると入場開始から5分経っていました。Xさんは別のアルバイトさんと交代して一休みします。
((5分時の状況図:青赤二色の入場済み客と赤の新入客))
ニュートン算の関係式
行列を整理していたアルバイト仲間のYくんも休憩に入ったので会話を交わします。
列の人数を数えられなかったのを思い出して、Y君に入場時刻に列に何人並んでいた?と聞くと「よく分からない」という返事#。
ただ「30秒に1人くらい列に並んでいた」とのこと。つまり1分間に2人のペースで列に加わったということです。列がなくなるまで5分かかったので、入場開始から列がなくなるまでの間にも2×5=10人が加わっただろうと分かりました。
そして自分が切り取ったお客さんの半券を数えると50枚でした。つまりXさんは50人のお客さんを入場させたことになります。
しかし、この50人は入場開始時の列の人数ではありません。その後の5分間で列に加わった人の分も混じっています。
((状況図2))
そしてXさんが入場させたのが50人で列に加わったのが10人なので…列の人数=50ー10=40人と分かりました。そんなにいたんですね!!
このように、ニュートン算では3つの量が登場します。
①最初の列の人数(最初の量=A)
➁途中で列に加わった人(増えた量=B)
➂Xさんが入場させた人(処理した量=C)
そして、この3つの量の間には
「処理した量=最初の量+増えた量」
という関係が成り立ちます。この関係を作ることがニュートン算の第一歩になります。
→「処理した量=最初の量+増えた量」
(例1)映画館
入場させた人数=初めの列の人数+加わった人数
ニュートン算の準備
映画館以外の例でも、上で見た関係式「処理した量=最初の量+増えた量」を作ることができればニュートン算を解くことができます。
映画館
「入場させた人数=列の人数+加わった人数」
でした。
泉
水が溜まった泉があって、泉の底からは水が湧き出ています。泉を王掃除するので、ポンプを使って水を汲み出して泉の水を空にします。
((図))
この時の関係式を、問題文に関連する言葉を使って作ると
「くみ出した水=初め溜まってた水+湧き出た人数」
牧場
「食べた草=初め生えていた草+新たに生えた草」
以上をまとめると、このようになります。
→「処理した量=最初の量+増えた量」
(例1)映画館
入場させた人数=列の人数+加わった人数
(例2)泉
くみ出した水=溜まってた水+湧き出た水
(例3)牧場
食べた草=最初生えていた草+新たに生えた草
ニュートン算の基礎問題
ニュートン算の「3つのキー」のうち2つが分からない場合
こんな問題です。
例題2-1
アニメ映画「屠龍の剣」は大人気で毎日行列が長くなっていくのでチケットをチェックするロボットを置くことにしました。今日は土曜日なので入場開始時刻には過去最高記録の 人もの行列が出来ていて、やはり1分間に2人行列に加わってくるとします。ところが…ロボットはなんと3分で行列を無くしてしまいました。
(1)機械は1分間に何人を入場させることができるか?
(2)次の日は行列が更に増えて 人の行列が出来ていた。ロボットを2台にすると行列は何分でなくなるか
前半はペースを求める
ニュートン算の基本問題は前半と後半で問題の様子がガラッと変わります。
映画館問題で入場させるペースを求める問題
このように、ニュートン算の実際の問題では、最初の3つの量とは少し異なる「3つの数字=3つのキー」が重要になります。
①最初の量
➁量が増えるペース
➂量を減らすペース
関係式Aをもう一度思い出すと「処理した量=最初の量+増えた量」でした。
そして量が0になった時間をTとすると「増えた量=量が増えるペース×T」「処理した量=量を減らすペース×T」になるので、関係(A)「処理した量=最初の量+増えた量」を改造して
「量を減らすペース×T=最初の量+量が増えるペース×T」
という関係が分かります。
3つの場合についてまとめると、こうなります。
→処理した量=最初の量+増えた量
→量を減らすペース×T=最初の量+量が増えるペース×T
(Tは量を全部処理するのにかかった時間)
(例1)映画館
入場させるペース×T
=初めの列の人数+列に加わるペース×T
(例2)泉
汲み出すペース×T
=溜まっていた水の量+湧き出るペース×T
(例3)牧場
食べるペース×T
=初めに生えていた草+生えるペース×T
摸試や入試で実際に使うのはこの関係式が多いです。暗記というよりは実際の数字で関係式を作ることができればOKです。
様子が変わる後半戦
3つのキーが全て分かった後は、もっと単純な問題になります。
「差し引き」
類題で定着!
(別解)前半と後半を同じように解く
基本問題は以上です。
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