中学受験生で仕事算が苦手な方へ。
確かに仕事算は5年で「比」と一緒に出てきて難しく感じることがあります。
しかし、仕事算自体は「比」とは関係ありません。
そこで、4年生の方は「比」が出てくる前の先取りとして、5年生の方は一歩下がった基礎固めとして「比なしの仕事算」を学習することをオススメします。
「比」無しの仕事算だけを学んでみると意外と簡単でしょうから、その後「比」ありの仕事算を学べばラクに身につけることが出来るでしょう♪
この記事では東大卒講師歴20年の図解講師「そうちゃ」が「比なしの仕事算」から「比ありの仕事算」まで分かりやすく解説します。
記事を読んで例題を解けば仕事算が苦手では無くなっているでしょう。
目次(クリックでジャンプ)
具体量が示される仕事(受験小4)
仕事「算」と聞くと難しそうだと思う人もいるかもしれませんが、別に特別な考え方ではありませんよ。
考え方を理解♪
例題に答えながら、仕事算を理解しましょう
1-1:仕事算の基本
ヒント
気楽に答えて下さい
解説
60枚のクッキーを2枚づつ小さな袋に分けていくのと同じなので、60÷2=30日 ですね。
これが仕事算です。簡単でしょう?
考え方の解説
仕事算では何かをすることを「仕事」と考えます(この場合はクッキー60枚を食べるのが「仕事」!ですね)
そして「1日2枚」のような仕事をする(食べる)速さを「ペース」と呼びましょう
仕事を終わらせる(クッキーを食べ終わる)のにかかる時間はそのまま「時間」で良いでしょう。
●「仕事(量)」
→やるべきこと全体の量
●「ペース」
→1時間や1日でする仕事の量
●「時間」
→仕事を終わらせるのにかかる時間
今の問題では「時間」を「仕事(60)」÷「ペース(2個/日)」=30日 と求めました。
解説
60枚を15等分すれば良いので、60÷15=4 で1日4枚ですね。
これは「ペース」を「仕事(60枚)」÷「時間(15日)」=4枚/日 と求めたことになります。
解説
1日4枚のペースで10日なので、クッキーは4×10=40枚あったと分かりますね。
これは「仕事量」を「ペース(4枚/日)」×「時間(10日)」=40枚 と求めたことになります
このように、仕事算では3つの数値「仕事(量)」「ペース」「時間」を使って計算を行います。
途中で出てきた3つの数値の関係をまとめると、次のようになります(仕事算の公式)
●仕事(60枚)=ペース(2枚/日)×時間(30日)
●時間(30日)=仕事(60枚)÷ペース(2枚/日)
●ペース(2枚/日)=仕事(60枚)÷時間(30日)
何か別の公式と似ていると思いませんか?
そう!これは「速さ」の公式と似ていますね!
●道のり(12km)=速さ(4km/時)×時間(3時間)
●時間(3時間)=道のり(12km)÷速さ(4km/時)
●速さ(4km/時)=道のり(12km)÷時間(3時間)
「仕事→道のり」「ペース→速さ」「時間→時間」と変えれば同じですね。仕事算は速さの問題とほぼ同じです。
ペースの変更
一人で仕事をするが、途中でペースを変える場合
Q1ペースの確定
Q2残り何日で終わるか
Q3つるかめ算(面積図)
二人仕事算
では基本公式を利用した問題を解いてみましょう。
1-2:何人かで仕事
解説
まず、ABそれぞれのペースを出します。
Aのペースは120÷60=2個/日、Bのペースは120÷40=3個/日 です。
2人が同時に食べるとき、1日に減る量は2+3=5枚/日になります。これが2人分のペースになります。
この5枚/日のペースで120枚のアメを食べるので、時間=仕事(120)÷ペース(5)=24日で食べ終わると分かります。
このようにある人と他の人の「ペース」は足し算できます。(場合によっては、引き算もできます)
それぞれのペースを合計する
(例1)
製品を1日3個作るAと4個作るBが同時に仕事
→製品は1日に3+4=7個作られる。
(例2)
水を1分で2L汲むポンプCと3L汲むポンプDで
同時に汲み上げる
→水は1分に2+3=5L汲み上げられる。
解説
Aさんが10日で食べる量(仕事)は、ペース(2)×時間(10)=20個で、残りは120-20=100個です。
これを2人で5枚/日のペースで食べるので、100÷5=20日かかります。
全部で10+20=30日かかると分かります。
今計算したことは面積図に表すことができます。
最初の10日間は2(タテ)×10(横)=20(面積)の長方形、次の20日間は5×20=100の長方形
合わせると「L字型の面積図」になります。
ということは…
解説
小問(2)の面積図を見て「次はつるかめ算かな」と思った人は鋭いですね!
これは「チョコ3個入りの箱と5個入りの箱があわせて26個あって、中のチョコを出したら120個になった。3個入りの箱はいくつか?」と同じ問題です。
?を出すには、{(26×5)-120}÷(5-3)=5で5日と分かります。
面積図を使わない場合(置き換え法=差集め算)でも計算は同じです。
解き方が分からない/忘れた人は「L字型の面積図」を見て下さい。
これで仕事算の基本は終了です。
小まとめ
●3つの公式
・仕事(60枚)=ペース(2枚/日)×時間(30日)
・時間=仕事÷ペース
・ペース=仕事÷時間
●複数人で同時に仕事→ペースを合計
●2人の仕事の合計時間しか分からない場合
→つるかめ算と同じ計算をする(面積図)
具体量が示されない仕事
(受験小4~)
仕事の量が示されていない場合
例えば、「Aさんが3時間で終わる仕事」「Bさんが5時間かかる仕事」のような問題
全体の仕事量を自分で決めないと計算ができません。
ここで2種類の決め方を紹介します。
①仕事全体の量を「1」とする
②仕事全体の量を1以外の整数とする
②の方が簡単なのですが、②が分からないこともあるので、①も出来るようにしておく必要があります。
まずは簡単な②から説明します
仕事全体を1以外の整数とおく
たとえば「Aさん1人だと5日間、Bさん1人だと6日間で終わる仕事」があるとします。
仕事の全体量を5と6の最小公倍数30とおくと、Aのペース=30÷5=6、Bのペース=30÷6=5 とペースも整数になるので計算が楽そうですね。
あとは上と同じように解けばOKです。例題で試してみましょう
2-1-1:仕事を整数とおく
解説
仕事の全体量を10と15の最小公倍数30とおくと、Aのペース=30÷10=3、Bのペース=30÷15=2、A+Bのペース=3+2=5となる。
はじめはB1人でペースは2、途中からA+Bでペースは5、合わせて9日で30の仕事をしたので「仕事のつるかめ算」の面積図にするとこうなって
?(Bが1人で仕事した日数)={(9×5)-30}÷(5-2)=5なので、Aが加わったのは5+1=6日目から。
仕事全体を1とおく
登場する人物全員の所要時間が問題文からはっきりせず最小公倍数が出せない場合は仕事全体の量を「1」とおきます。
例えば「Aは仕事全体の13を4時間で終わらせ、Bは仕事全体の12を5時間で終わらせる」という場合
Aのペースは13÷4=112、Bのペースは12÷5=110 と決まります。
この場合、ペースは分数になるので計算が面倒くさく感じるかもしれませんが、解き方自体は上と同じです。
2-2-1:仕事を1とおく
解説
仕事全体を1とおくと、Aのペースは13÷4=112、Bのペースは12÷5=110 と決まる
Aさん一人で仕事を終えるのにかかる時間は、1÷112=12日、Bさんは1÷110=10日です。
解説
二人同時のペースは112+110=560+660=1160です。
かかる時間は1÷1160=6011=5511日なので、終わるのは6日目(の途中)。
解説
「仕事のつるかめ」です。L字型全体の面積が1、全体の横幅が11,左(A)の高さ(ペース)が112、右(B)の高さ(ペース)が110です。
Aの日数は、{(110×11)-1}÷(110–112)=110÷160=6日、Bが11-6=5日と分かります。
「具体料が示されない仕事」は以上です。
Aの日数は、{(110×11)-1}÷(110–112)=110÷160=6日、Bが11-6=5日と分かります。
のべ(人数)仕事算
ここまでは、AさんBさんというように1人1人に個性がありましたが、個性の無い複数の人間が共同で仕事をする場合があります。
1種類の人間
3-1:のべ仕事算
無名で個性のない人たちが出てくるのがこの問題の特徴です。
普通の仕事算と同じように、まずペースを出してみましょう。
仕事全体が具体的な数値でないので1とおくと、一日の仕事のペースは1÷5=15と求められますが、これは20人が一日でする仕事量です。
1人分の仕事量はこれをさらに人数(20)で割らないといけません。15÷20=1100が1人分の1日のペースなります。
*別解
5×20=100を仕事量にして、1人1日分のペースを100÷5÷20=1としても良い)
このような個性の無い複数の人が働く仕事算「のべ仕事算」では、1人のペースを出す式が「普通の仕事算」より少し複雑になります。
●ペース=仕事量÷時間
(例)A君がある仕事をするのに
20日かかった
→A君の1日の仕事のペース
=1÷20=120
●1人のペース=仕事量÷時間÷人数
(例)ある仕事をするのに
20人が働いて5日間かかった
→1人の1日の仕事のペース
=1÷5÷20=1100
この考えを使って、例題を解きましょう。
3-1:のべ仕事算
解説
25人で働くと、1日の仕事のペースは1100×25=14になります。
よって、終わるのにかかる時間は1÷14=4日と分かります。
解説
2日で終わらせるには、1日のペースは1÷2=12が必要
1人の1日のペースは1100なので、1日で12というペースを出すのに必要な人数は12÷1100=50人と分かります。
一応、公式セットを作るとこうなりますが、最初のペース以外は無理に憶えなくてもよいかもしれません。
●ペース=仕事量÷時間
(例)A君がある仕事をするのに
20日かかった
→A君の1日の仕事のペース
=1÷20=120
●仕事量=ペース×時間
●時間=仕事量÷ペース
●1人のペース=仕事量÷時間÷人数
(例)ある仕事をするのに
20人が働いて5日間かかった
→1人の1日の仕事のペース
=1÷5÷20=1100
●仕事量=1人のペース×人数×時間
●時間=仕事量÷(1人のペース×人数)
2種以上の人間
上の問題は個性のない1種類の人間でしたが、2種類の人間、例えば大人と子どもがいる場合を考えます
3-2:のべ仕事算
解説
仕事全体を1とすると、大人1人のペースは1÷12÷6=172、子ども1人のペースは1÷18÷10=1180になる。
大人2人と子ども7人のペースは(172x2)+(1180x7)=115なので、仕事が終わるのにかかる時間は1÷115=15分
別解
仕事全体を6×12=72と10×18=180の最小公倍数360にすると、大人1人のペースは5、子ども1人のペースは2となる。
大人2人と子ども7人のペースは(5×2)+(2×7)=24なので、かかる時間は360÷24=15分
練習問題(2022/3/25作成中)
場所取り問題
のべ仕事算と同じ方法で解く問題に「場所取り問題」があります。
こんな問題です
3-3:場所取り算
解説
席が3つで時間が40分なので「席に1分座るチケット」が3×40=120枚あると考える
これを5人で平等に分けるので、1人が座る時間は120÷5=24分になる
解説
子どもは1人が2人分なので、大人2人子ども6人の計8人家族で座る考える。
120÷8=15より、大人は15分、子どもは2人分なので15×2=30分座れることになる
練習問題(2022/3/25作成中)
ペースから決める仕事算
(受験小5)
ここまでは仕事の全体量を先に決めてからペースを求めていましたが「比」を学習した後は「速さと比」と同じような関係を利用してペースを先に決めます。
●道のりと速さの比は等しい
●道のりと時間の比は等しい
●速さと時間の比は逆になる
●仕事全体と仕事ペースの比は等しい
●仕事全体と時間の比は等しい
●仕事ペースと時間の比は逆になる
三番目の公式を使って、2人の時間の比などから仕事の比を求め、その数字を元に仕事全体の量を決めます。
例えば「A一人だと6時間、B一人だと8時間かかる仕事がある」場合、これまでは、仕事全体を6と8の最小公倍数24とおいてからペースを出していましたが…
時間の比が3:4なのでペースの比は逆の4:3と分かるので、Aのペースを④にBのペースを➂とおきます。
全体の仕事量は比を使わない場合と同じく④x6=24
また「Aが3日休んだ分をBが働くと4日間働かなくてはならない」も同じ比、同じペースになります。
2人の関係が直接的に「AはBの43倍働く」と書いてある場合もA:B=43:1=4:3なので同じです。
このように、比を使ってペースを先に決めると「とりあえず」問題を先に解き進めるので、複雑な問題を解くのに便利なことがあります。
例えばこんな問題です
4-1:ペース先行型
解説
仕事全体を2通りで表すと
Ax16+Bx6=Ax10+Bx15 となる。
式を比較したり線分図を書いたりして考えると、Ax6=Bx9 と分かる。
これはA6日分とB9日分が等しいので、6:9=2:3の逆比で、ABの仕事のペースは③:②と分かる。
これを使うと仕事全体は③x16+②x6=60
60の仕事をはじめのペース③とあとのペース②、合計26日で完成させる「仕事のつるかめ」を解いて
A=8日、B=18日
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