平均算を学習する中学受験生の方、「面積図が難しそう」「面倒くさい」と思っていませんか?実は、正しい書き方を少し練習すれば同じ解き方で多くの問題は解けてしまうんですよ。
この記事では東大卒講師歴20年の図解講師「そうちゃ」が平均算の面積図の書き方を分かりやすく説明します。記事を読みながらすれば平均算がだんだん得意になっていきますよ!
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平均算の基本

平均の意味・公式
「平均」とは、いくつかの数値の「合計」を数値の「個数」で割ったものです。
→いくつかの数値の「合計」を
数値の「個数」で割ったもの
平均=合計÷個数
テストの「平均点」でおなじみだと思いますが、確認テストをどうぞ。
算国理社4科目テストの点数が78点,94点,57点,71点だった場合、平均点はいくらか?
→( 4科目の点数の合計を4で割るので、(78+94+57+71)÷4=300÷4=75点 )
中学受験では応用問題を面積図で解くので、平均の三公式と面積図を合わせて覚えましょう。
●合計=平均×人数
●平均=合計÷人数
●個数=合計÷平均

確認テストをどうぞ。
A君は5回テストを受けて平均点が72点だった。5回の合計点は?
→( 平均72点、回数5回なので、合計=平均72点×回数5回=360点 )
A君の班は全員の体重の合計が210kgで平均すると35kgだった。班の人数は?
→( 合計210kg、平均35kgなので、人数=合計210kg÷平均35kg=6人 )
平均算と線分図
公式だけで解けない(考えられない)問題は図を書くことになります。
たいていの問題は面積図を書きますが、3~4人(個)の数値の平均や個別の差が書いてある場合は線分図を使うこともあります
和差算タイプの問題
平均と人数(個数)が分かっている場合は合計も分かるので、和差算の「和」のように書き込みます。
さらに差が分かっていれば和差算になります。
単純な問題
一番単純なのは、こういう問題です。
ABの所持金の平均が650円で、AがBより300円多い場合、それぞれの所持金はいくらか?
合計(和)が650×2=1300円、差が300円なのでこうなります。

B=(1300-300)÷2、A=(1300+300)÷2でした。
図が出来たらあとは和差算の解法で解けますね(詳しくは関連記事「和差算まとめ」を見て下さい)。
テストで試してみましょう!
太郎・次郎・三郎の所持金の平均は900円。太郎は次郎より200円少なく、次郎は三郎より100円多い。三人の所持金は?
→( 三量の和差算になる。三人の合計は900×3=2700円。一番多いのが次郎で、太郎は200円差、三郎は100円差。差の部分を埋めて÷3すると,次郎の金額が(2700+300)÷3=1000円。太郎は1000-200=800円、三郎は1000-100=900円。
)
応用1
全員の平均だけでなく何人かの平均も分かっている場合はその差で一つの値を出したり、二重の和差算にして解きます。例えばこんな問題です。
ABC3人がテストを受けた。ABの平均は66点だがABC三人の平均は8点高かった。またAの点数はBの点数より8点高かった時、それぞれの点数を求めよ
AB二人の平均が66点なのでABニ人の合計は66×2=132点、ABC三人の平均が66+6=74点なのでABC三人の合計は74×3=222点と分かります。AがBより8点高いのも書き込みます(図1)。

図を見るとABは和差算になっていて、A=(132+8)÷2=70点、B=(132-8)÷2=62点と分かります。(図2)。

さらに、ABCの合計222からABの合計132を引いた90点がCの得点と分かります(図3)。

詳しい説明を見たい人は参考記事「和差算まとめ」内「二重の和差算」を見て下さい。
応用2
全員の平均が分からず何人かの平均しか分からない場合は、和差算で出てきた「和和和算」と同じように式を比べて値を求めます。
確認問題
ワリカン算タイプの問題
問題文に「個別の数値と平均との差」が書いてある場合は、線分図に平均を書き入れます。2つの書き方(2-1と2-2)があります。
書き方1
各線分の中ほどを横切るタテの線として平均を書きます(多くのテキストにあるタイプ)。
線分が二本の場合は平均のタテ線と各線分の差は等しくなり(図1)、線分が三本以上の場合は平均より高い部分の合計と低い部分の合計が等しくなる(図2)。これは「ワリカン算」の書き方です。
書き方2
もう一本、平均の線分を書いてしまいます。平均そのものの大きさが書いていないような場合は、こちらが便利です。
((図))
確認問題2020.2.12作成中
平均算と面積図
人数が10人を超えるような場合は線分図では書ききれないので面積図を使います。
面積図の作り方
全4回のテストを受けたところ78点,94点,57点,71点だった場合、点数を棒グラフにすると凸凹になります(図1→図2)。

この凸凹をならすと長方形になります(図3→図4)。そして形を変えても面積(合計300)と横幅(4)は変わらないので高さが300÷4=75 と分かります。
これが平均算の面積図です。長方形の面積が「合計」、タテが「平均」、ヨコが「人数(個数)」になります。
●平均=合計÷人数
●個数=合計÷平均

最初に公式の一番目を「合計=」にしたのは、面積図が書ける公式を覚える際には面積にあたる用語を最初にするのが覚えやすいからです。(参考記事「単純な面積図」)
また幅1の長方形は線分と同じなので、線分図の代わりにもなります。
面積図の重ね合わせ
平均算の応用問題では面積(合計)が等しい二つの面積図を重ねて考えることがあります。この時、はみ出た二つの部分の面積が等しいことを利用します
詳しくは参考記事「重なる面積図」を見て下さい

いろいろな平均算

最後のテスト
何回かテストを受けて最後にもう一回テストを受けるような問題です。使う式はこちら
合計点数=前回までの合計+最後の点数
=(前回までの平均×前回までの回数)+最後の点数
公式の使い方・図の書き方
一番簡単な問題で図の書き方を試します。
全10回のテストで9回目までの平均点が80点だった。最後のテストで90点をとると全回の平均は何点か
今までの回数と平均から80×9=720の長方形の面積図を書き(図1)。右端に最後のテスト(1×90の長方形)をとりつけます(図2)。この時の合計は80×9+90×1=810点になっています。
平らにならした高さが全回の平均で、810÷10で81点です。(図3)。
→
ならす
簡単な問題
次のような回数が分かっている場合は図を書かなくても解けます。
全五回のテストで四回までの平均が70点だったのが、最後のテストを受けてから平均を出す75点に上がった場合、五回目のテストは何点だったか?
→五回全部の合計から四回目までの合計を引いたものが最後の点数です。四回目までの合計点は70×4=280点、五回全部の合計点は75×5=375点なので、375-280=95点が五回目のテストの点数。
図にするとこういう感じですね。

デコボコを一回ならして合計を出してから、もう一度デコボコに戻して、さらにもとの2つの面積図に分けています。
応用問題
次のように、回数が分からない場合は2つの面積図を重ねて解きます。「等しい面積を重ねると、はみ出た部分が等しくなる」のを利用します(詳しい説明は「面積図の重なり」を見て下さい)
何回かテストを受けて平均点が73点だったが、最後のテストで100点を取ったので平均点が76点に上がった。テストは全部で何回あったか?
今までのテストと最後のテストをくっつけた面積図を平らにならします(図1)

いつものパターンです
「ならす」前の凸凹の青い面積図と「ならした」後の赤い長方形の面積図を重ねると、2つの図は面積が等しいので「はみ出た部分(A,B)」の面積が等しくなります(図2)。

AとBは面積が等しくなる
Bはタテ24ヨコ1なので面積が1×24=24になり、Aの面積は同じく24でタテは3なのでヨコは24÷3=8と分かります。(図3)

?が分かりました。
図の?=8なので、テストは全部で8+1=9回になります。
2つのグループ
クラスを男子と女子に、受験者を合格者と不合格者に、というように、集団を2つのグループに分け、集団全体とそれぞれグループの平均の関係を考える問題です。
全体の合計=グループAの合計+グループBの合計
図の書き方・公式の使い方
例えば「30人のクラスで、男子16人の平均点が57点、女子14人の平均点が72点の時、クラスの平均は何点?」という問題を考えます
クラス全体の合計点=男子の合計点+女子の合計点です。男子の合計点=57×16=912点、女子の合計点=72×14=1008点なので、全体の合計点は912+1008=1920点と分かります(図1)

クラスの平均=クラス全体の合計÷クラスの人数です。全体の合計=1920、人数は16+14=30人なので、クラスの平均=1920÷30=64点です(図2)。

基本問題
人数が詳しく分かっている場合は面積図を使わずに公式だけで解けます。
例えば「男子が18人、女子が21人のクラスでテストをして、クラス全体の平均は74点、男子の平均は67点だった時に女子の平均を求めよ」という問題
クラス全体の合計=(18+21)×74=2886点、男子の合計=18×67=1206点です。
そして女子の合計=全体の合計2886-男子の合計1206=1680なので、女子の平均は1680÷21=80点です。
応用問題
数値が少なく、計算だけでは解けないな…と感じたらすぐに「重ね合わせ図」を書きます。
例えば「あるテストを実施したところ合格者は100人でした。合格者の平均点は受験者全員の平均点より10点高く、不合格者の平均は合格者より14点低かったそうです。受験者は全部で何人でしょうか?」という問題です。具体的な得点が全く書いてないので合計が出せません…
まず大きさはテキトーで良いので不合格者の面積図と合格者の面積図を合わせた図(青)とならした図(赤)を書きます。この二つの面積は当然同じです。

赤と青の面積は等しい
次に2つの面積図が重なった「重ね合わせ図」を作ります(図2)。等しい面積を重ねたので、はみ出たAとBの面積(斜線部分)は等しくなります。

合格者の平均点は受験者全員の平均点より10点高いのでBのタテは10、不合格者の平均が合格者より14点低いのでAのタテは14-10=4です。また合格者の人数が100人なのでBのヨコは100です(図3)。

不合格者の人数が分かります
これでBの面積は10×100=1000と分かり、Aの面積も1000です。Aのタテが4なのでヨコは100÷4=250と分かります!これが不合格者の人数です(結局、平均点そのものは最後まで分かりません)。
以上より受験者の人数は、合格者100人+不合格者250人=350人です。
段階式の価格
例えば「ある印刷工場では、ポスターを印刷してもらうのに枚数によって値段が変わります。10枚までは1枚○円、11枚以上30枚までは1枚●円、31枚以上は1枚◉円で印刷してもらえます。1枚あたりの値段が◆円以下になるには何枚以上印刷してもらう必要がありますか?」という問題です。
上で見た「2つのグループ」の問題のグループ数が3つ・4つになったような問題です。
(2020.2.17作成中)
度数分布表
表を読み取って解く次のような問題です。
度数分布表の使い方
0点から5点までの点数がつくゲームを何人かでプレイした時の点数と人数を表にします(図1)
右から2列目は「4点をとった人数が3人」をあらわしています。
この表を使って平均点を出してみましょう。
平均=合計÷人数なので、まず合計を求めます。
右から2列目の4点をとった3人の合計点(小計)は4×3=12点です。これを新しく作った三段目に書き込みます(図2)。同じように三段目を全て計算して、これらを合計すると全員の合計得点(総計)が31点と分かります!
人数の合計は二段目を合計すれば10人と分かります(図4)。
結局、平均点は合計31÷人数10=3.1点と分かります(図5)。
基本問題(空欄1個)
次の様に空欄が1個の問題は簡単です。
(2020.2.25作成中)
応用問題(空欄2個)
次のような空欄が2つ以上ある問題は、つるかめ算で解きます。
「下の表は」
(2020.2.25作成中)
その他の応用問題
●単元学習中の小4・小5には定評のある「算数の基本問題(小5)」(日能研)
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