「売買(損益)計算が難しい!」という中学受験生の方、もう大丈夫ですよ!東大卒講師歴20年の図解講師「そうちゃ」が図の書き方・問題の解き方を分かりやすく説明します。売買(損益)計算ができるには何をすれば良いのかはすべて分かりますよ!
売買は難しいだけでなく、面倒くさい分野です。時間と手間をかけて、一つ一つ図の書き方使い方を身に着けていきましょう!
売買で「もうける」仕組み
例題1
「色がカッコいいから欲しいけど、ちょっと高いなあ」と迷うB君に、A君は「じゃあ半額でいいよ」と答えます。B君は「やった!ラッキー!」と喜んで買ってくれました。
A君は何円もうかりましたか?
1000円で売ろうとして半額に値下げしたので500円で売ったことになります。
1000円で売ろうとして半額に値下げしたので500円で売っていますが、「もうけ」は500円ではありません。お店でフィギュアを買うのに100円かかっているので500-100=400円がもうけになります
400円
今の問題ではフィギュアの値段が3種類でてきました。それぞれ名前がついていて、売買の問題でも使われるので覚えて下さい。
①お店で買った値段(=100円)
品物を用意するのにかかった金額を「原価」や「仕入値」といいます
②最初につけた値段(=1000円)は「定価」
③実際に売れた(値引きした)値段(=500円)を「売値」といいます。
このように、価格は❶原価(100)→❷定価(1000)→❸売値(500)と変わり、最初と最後の差(500-100)が「もうけ」=「利益」になります。
途中の値段(定価)は利益と無関係なことに注意しましょう!
◆価格の変化
❶原価→❷定価→❸売値
◆利益
利益=❸売値ー❶原価
(例)原価100円の品物に1000円の定価を付けて500円に値引きして売る
→利益は500-100=400円
テストで確認してみましょう。
(1)1000円で作った人形を2000円の定価で販売したが、売れないので500円値下げしたら売れた。利益はいくらか?→( 原価1000→定価2000→売値1500なので、利益は1500-1000=500円 )
(2)300円で買ったバナナを500円で販売したが売れないので次の日に150円値下げしたのにまだ売れない。さらに100円値下げしたらやっと売れた。利益はいくらか?→( 原価300→定価500→売値350→売値250で、最後の売値が原価より低くなっていて利益は無い。300-250=50円の損失(赤字) )
次は、もう少し本格的に売買計算を行います。
価格の決定と線分図
さっきは定価の決め方はテキトーで売値も「○円値下げ」と決めていましたが、実際には割合の「増し」「引き」を使って決定することが多く、受験算数の問題もほとんどそうなっています。
割合の「増し」「引き」(復習)
くわしく復習したい人は参考記事「割合の総まとめ」内の「割引と割増」を見て下さい。
値段の変化を計算する
原価→定価
定価を決めるときは、「原価の40%増し」「4割の利益を見込んで」など割合で表現します。
・「40%増し」=「100%+40%」=「140%」=「×1.4」です
・「4割の利益を見込んで」=「4割増し」=「40%増し」なので、同じく=「×1.4」です
「原価が1200円の品物に50%増しの定価をつけた」のを矢印図にするとこうなります。
定価→売値
定価の後に、売値を決めるときは「定価の25%引き」「定価の3割5分引き」などの表現を使う
・「25%引き」=「100%-25%」=「75%」=「×0.75」です
・「3割5分引き」=「35%引き」=「100-35」=「65%」=「×0.65」です
「定価1800円の品物を2割引きで売った」を矢印図にするとこうなります。
原価→定価→売値。そして利益
原価→定価→売値の変化は「二段の矢印図」になります。
例えば「原価が1200円の品物に50%増しの定価をつけ、2割引きで売った」を矢印図にすると、こうなります。
原価と売値の差を利益として書くと完成です。
矢印図から線分図へ
矢印図では利益が直感的に分からないので、線分図にします。
線分図
上から原価、定価、売値の線分図を並べ、矢印でつなぎます。
そして利益を原価と売値の差として書きます。
このような「短」「長」「中」の三本と「短・中の差」の四本というのが一番多いパターンです。
ここまでが売買算(損益計算)の基本知識です。次からが問題になります。
価格の推定問題
「相当算・還元算」と似た解き方になるので、関連記事「相当算・還元算の図の書き方・解き方」を見ておくと良いでしょう。
原価(①)を求める問題
売値と利益から原価を求める
定価(増しの割合)を求める
原価と(期待した)利益から、何割増しの定価をつけたのか聞かれる
売値(値引きの割合)を求める
原価・定価と利益から、何割引きの売値をつけたのか聞かれる
次は複数の品物を売る場合の計算です。
複数個の売買と面積図
これまでは一個の品物しか考えませんでした(単数売買)が、ここからは沢山の品物を販売する場合(複数売買)について考えます。
単数売買は線分図を使いましたが、複数売買では面積図を使います。
たくさんある品物の一部を値引きしたり、一部が売れ残ったりと色々な場合があるので、それぞれの場合の面積図がパッとかけるようになりましょう
実例と面積図
用語と公式
・仕入総額
仕入れた個数×仕入れ値(原価)を「仕入総額」と呼ぶ
(面積図の青い長方形)にあたる
・売上高
実際に売れた個数×売れた値段を「売上高」と呼ぶ
面積図の赤く囲まれた部分。単純な長方形にはなることは少ない。
つるかめ算のような形になる。
・利益
売上高-仕入総額が利益になる。
面積図では赤い部分の面積-青い長方形になる。
簡単なパターンでは利益自体がつるかめ算のような形の面積として表されるが、面積にできない場合があり、それが難しい原因。
(公式)
複数売買の利益=売上高-仕入総額
複数個売買のパターン
定価で完売パターン(利益は図示される)
全部の品物が定価で売り切れた幸運な場合。
利益は単純な長方形として確認できます
(1)実例と面積図
(2)例題
値引きで完売パターン(利益は図示される)
定価では全部が売れなかったものの、値引きをしたら残りが全部売れた場合
この場合、利益はつるかめ算のような形で確認できます。
(1)実例と面積図
(2)例題
(3)二回値引きをした場合
売上高の面積が三段になる
捨て値で完売パターン(利益は図示されない)
値引きしても売れ残るので、最後は原価よりも安い「捨て値」で全部売り切った場合
この場合、利益は図に表せないことに注意!
「売上高-仕入総額」という数字で考えるしかありません
(1)実例と面積図
(2)例題
(3)二回目の値引きが「捨て値」の場合
三段になります
売れ残りパターン(利益は図示されない)
値引きをしても結局、全部は売れなかった場合
この場合も利益は図に表せないことに注意。
「売上高-仕入総額」という数字で考えるしかありません
(1)実例と面積図
(2)例題
(3)値引きを二回以上した場合
三段になります