中学受験生で「比が苦手!」という人もいるかもしれません。確かに比の利用問題(図形と比、速さと比)は難しいのですが、比そのものには簡単な問題も多いんですよ。まずは簡単な問題を完全に定着させて、難しい問題に少しづつ挑戦しましょう。
この記事では東大卒講師歴20年の図解講師「そうちゃ」が比の基本から文章題までを説明します。全部をマスターすれば比の利用問題にもチャレンジできるでしょう!
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比の意味
比の形と呼び方
比の意味
「比」のかたちを示します。
これはAの大きさを1とするとBの大きさが2ということを表します。線分図にすると次のようになります。
比の構成
前項・後項
Aを前項、Bを後項と呼ぶ。覚えなくても大丈夫
前項
後項
内項・外項
4つ並んだ文字と数字のうち、左右の端にある2つを「外項」、真ん中の2つを「内項」と呼ぶ。こちらは大切です。
外項
内項
内項
外項
比の値
1:2 の時、AとBの比の値は12 (AはBの12ということ)
比の基本操作
前後の項に同じ数をかける・割るしても比は等しいまま(分数の倍分・約分と同じ)
これを利用して比を単純化する
例題
この時、内項の積と外項の積は常に等しくなっている
連比
意味
連比の作成
二組の比から連比を作る
比例式
「x:3=8:6」のときxを求める問題。解法が2つあります。
解法1
「右項と左項に同じ数をかけるか割るかする」という比の基本操作を利用する。
「X:3=8:6」の場合、右項が3→6と2倍になっているので、左項にも2をかけてX→8なのでX=8÷2=4と分かる
パッと見で何倍と分かる場合はこのやり方でよいが、そうでない場合は面倒くさくなってくる。
「4:3=A:5」の場合、右項が3→5で何倍になっているか調べると、5÷3=53倍になっているので、左項にも53をかけてA=4×53=203と分かる。
これを一気に出すのが解法2です。
解法2
「内項の積と外項の積は常に等しくなっている」のを利用します
「A:B=C:D」である時、A×D=B×Cが成り立つ
「A:B=C:D」のAとDを外項、BとCを内項と言うので、A×D=B×Cは外側の積と内側の積は等しい」と憶えましょう
内項と外項のうちそろっている方の積を残りの数で割る
例えば「X:3=8:6」の場合、内項がそろっているので内項の積3×8を残りの数6で割って?=10/7になります。
例題
類題
比の文章題
まず線分図を書かずに解く問題を紹介します。
単位量の問題
例えば「12Lで84km走れる車は40Lで何km走れるか?」という問題
比を学習する前は1Lで走れる距離を出して40倍して求めていましたが、これを比で解きます。
燃料と道のりの比を式にすると「燃料:道のり=12:84=40:?」になり、これを解いて?=84×40÷12=280km と一発で出せます。
確認テスト
狂った時計
時計が壊れて正しい時間を刻まなくなった時に「この時計狂ってる」と言いますね。
その狂った時計がこんな感じの問題になります。(修理してくれよ…というのは無しw)
1:狂った時計
(解説)
「1時間で3分進む」場合、狂っていない「正しい」時計が1時間(60分)進む間に「狂った」時計は63分進みます。
つまり「正しい」時計と「狂った」時計の進む時間の比は60:63になります。
この「60:63」という比は時計を修理しない限りずっと変わらないので、この問題では「60:63」を使った比例式を使えば問題を解くことができます。
さて、7時から正午までに「正しい」時計が進んだ時間は(12-7)-1=6時間=60×5=300分で、この間に「狂った」時計が進んだ時間を?とすると「正:狂60(正):63(狂)=300:?」という比例式が出来ます。
これを解いて、?=300×63÷60=315分。つまり狂った時計は315分=5時間15分進むので、「狂った時計」が指す時刻は7:00+5:15=12:15分と分かります。
(解説)
小問1と逆に「狂った」時計が7時から正午まで300分進む間に「正しい」時計が何分進むかを求める問題です。
「正しい」時計が?分進んだとして「60(正):63(狂)=?:300」という比例式が出来ます。
これを解いて、?=300×60÷63=20007=28557分=4時間4557分なので、7時に加えて、11時4557分と分かります(まだ正午になっていないのに「狂った」時計が正午の時報を鳴らします)。
分数(約分すると…)の問題
例えば「約分すると35になり分母と分子の和が56になる分数を求めよ」という問題
「約分すると35になる」分数は、分子と分母の比が3:5なので、分子を③分母を⑤と置くことができ、③+⑤=⑧=56 ということです。
あとは、分配算として解きます。
分子と分母の和が56
↓
➀=7
分子③=21、分母⑤=35
詳しくは関連記事「分配算まとめ」を見て下さい。
逆比
逆比の意味
逆比の作り方
その1
2数の比の場合は前後を逆にするのが簡単です。
3:5を逆比にすると5:3になります。
その2
それぞれを逆数にする。3数の比の場合に便利
1:2:3を逆比にすると11:12:13になります。これを単純化して、6:3:2 が答えです。
逆比の利用
明示問題
「AのX倍とBのY倍が等しい」と書いてある場合、無条件にA:B=Y:Xになります。
これを使って分配算のように解きます。
暗示問題
有名なのは「二本の棒が水面から出ている問題」で、この場合水面下の長さが等しくなっています。
例えば「AB2つの棒をプールの底にまっすぐ立てたらAは1/4がBは1/5が水面より上に出た。ABの長さの比を求めよ」という場合、水面下にあるのはAの3/4、Bの4/5なのでAの3/4、Bの4/5が等しくなる。
これを逆比にした 4/5:3/4 がABの比になります。あとはこの比を単純化して(両方20倍)、A:B=16:15と分かります。
確認テスト
Aが貯金の25%,Bが貯金の3割を使ったら残りの金額が同じになった。最初の貯金額の比を求めよ。
比の積と商

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