「濃度の問題が苦手!」という中学受験生の方へ。確かに食塩水を作ったり混ぜたり…色んな問題・色んな計算があってややこしく感じられるかもしれません
でも、実は使う公式は3つ(1つ)だけ、問題の種類も基本は5種類くらいしかなく、そして食塩水の問題では、2つの図の書き方をマスターすれば大部分の問題に対応できます。
これらの公式・図の書き方をしっかり練習して、その使い方として問題を解けるようにすれば標準までは必ず解けるようになりますよ
この記事では東大卒講師歴20年以上の図解講師「そうちゃ」が濃度の基本公式や図の書き方から入試問題の解き方まで分かりやすく説明します
記事を読んで例題を解けば「濃度」の問題が得意になって、入試本番でも他の受験生に負けないでしょう♪
この記事は非常に長いです。目次をクリックして好きなところから読んでもいいでしょう。
濃度の基本
割合(復習)
濃度は割合の一分野で、図と公式は割合とほぼ同じです。
割合の図(矢印図)
姉は妹の4倍持っている」
3×4=12を表す
図と三公式
矢印図
→3つの数が「A×B=C」の関係にある時に、
矢印の向きに沿って「A」「B」「C」を並べた図
(例)「2×3=6」の矢印図


➊さきの数(6)=もとの数(2)×矢の数(3)
❷矢の数(3)=さきの数(6)÷もとの数(2)
❸もとの数(2)=さきの数(6)÷矢の数(3)
学校などで習う「割合の三公式」(中身は矢印図の公式と同じ)
➊割合=くらべる量÷もとにする量
❷くらべる量=もとにする量×割合
➌もとにする量=くらべる量÷割合
食塩水の図と公式
ビーカー図
食塩水全体に含まれる塩の量、例えば「15%の食塩水300gに含まれている塩の重さ」を求める矢印図にビーカーや塩の絵をつけると図1のようになります。これを一つにまとめたのが「ビーカー図」(図2)。

ビーカー図では一つにまとまっている。
食塩水の公式
ビーカー図に登場する三種類の数値「食塩水の重さ」「濃度」「塩の重さ」の関係は割合の三公式の「もとの数」「矢の数(割合)」「先の数」とほぼ同じですが…
➊矢の数=さきの数÷もとの数
❷さきの数=もとの数×矢の数
❸もとの数=さきの数÷矢の数
➊濃さの割合=塩の重さ÷食塩水全体の重さ
❷塩の重さ=全体の重さ×濃さの割合
❸全体の重さ=塩の重さ÷濃さの割合
食塩水の濃度(%)は濃さの割合を×100倍したものなので(1%=0.01)、計算に使う時は÷100して「濃度100」の形で使います。また割り算は分数の形にして、プロトタイプの公式を完成させるとこうなります
➊濃度=塩の重さ食塩水全体の重さ×100
❷塩の重さ=全体の重さ×濃度100
❸全体の重さ=塩の重さ÷濃度100

ビーカーの右下に、矢印図を小さくしたものができています(300→(×0.15)→45)。
この公式を覚えれば食塩水の問題はほぼOKなので、理解したら暗唱と書き取りで身につけて下さい。
水の濃度
普通は塩の重さに注目して問題を解きますが「水の重さ」に注目する場合もあります。
「水の重さ」は食塩水全体の重さから塩の重さを引けば分かりますね。
さらに「水の濃度」(変な言葉…)を考えます。例えば「濃度15%」の食塩水は全体100%のうち15%が塩なので、残りの85%が「水の濃度」になります。
水に注目したビーカー図
濃度15%の食塩水の
「水の濃度」は85%になる
ビーカーの右下に左向きの矢印図ができているのが分かります。(全体の重さ300g→(×0.85)→水の重さ265g)。
水の重さ・水の濃度を使った公式を作ると、こうなります。水の重さと水の濃度から全体の重さを求める❸が大事です。
➊水の濃度=100-塩の濃度
❷水の重さ=全体の重さ-塩の重さ
❸全体の重さ=水の重さ÷水の濃度100
基本の三公式を覚えた人は、こちらも「作れる」ようにしておきましょう。
その他の図
ビーカー図が描ければ十分ですが、他の図に興味がある人は(開く)を押して下さい
3つの数ABCが「A=B×C」の関係になる時には面積図が出来ました。(詳しくは参考記事「」を見て下さい)食塩水でも「塩」「全体」「濃度/100」が「A=B×C」の関係になっているので面積図ができます。
ただ、食塩水に関してはもう一つ「てんびん図」というのがあって、コチラのほうが直感的に解けて便利です。
もっとも、てんびん図の方は「比(ひ)」という単元を学ばないと使えないかもしれないので、5年の二学期までは面積図を使っても良いでしょう。
食塩水の要素の決定
濃度の公式を使って、三つの要素「全体の重さ」「塩の重さ」「濃度」のうち2つがわかっている場合に、残り1つを出すのが「要素の決定」です
➊濃度=塩の重さ食塩水全体の重さ×100
❷塩の重さ=全体の重さ×濃度100
❸全体の重さ=塩の重さ÷濃度100

塩を求める
全体の重さと濃度は分かっているが、塩の重さがわからない場合
例えば「3%の食塩水400gに塩は何g含まれるか」という問題です。
図:
分からないものは?にしておく
公式❷塩=全体×濃度100の「全体」に400を「濃度」に3を入れて計算します。
図:全体と濃度から塩を出す
公式は「全体×濃度100」
これ自体が入試問題になることは少ないのですが、問題に答えるためにこの作業を最初に行います。
濃度を求める
濃度を求める(全体と塩から)
例えば「食塩10gを使って500gの食塩水を作った場合の濃度」という問題です
公式❶濃度=塩全体×100 の「塩」に10と「全体」に500を入れて計算します。
図:塩と全体から濃度を出す
公式は「濃度=塩食塩水×100」
濃度を求める(水と塩から)
例えば「食塩20gと水180gを混ぜて出来る食塩水の濃度」という問題です。
❶濃度=塩全体×100 の「塩」に20を「全体」に200(塩20+水180)を入れて計算します
図:塩と水から濃度を出す
「塩塩+水×100」
水を求める
塩40gを使って10%の食塩水を作るのに水は何g必要か
基本公式では二段階で出します。
公式❸全体=塩÷濃度100 の塩に「40」を「濃度」に10をいれて計算して「全体」=400g。
全体400-塩40=水360gと分かる
(別解)
水の濃度は100-10=90%です。塩10%,水90%ということは、塩は水の1/9です。したがって40×9=360gと分かります
食塩水全体を求める
塩から全体を求める
例えば「塩4.8gを使って4%の食塩水を作ると全部で何gか?」という問題です。
公式❸全体=塩÷濃度100 の「塩」に4.8を「濃度」に4を入れて計算します。分数の中に小数が入っていてもOKです。
図:塩と濃度から全体を出す
公式は「全体÷濃度100」
水から全体を求める
水360gで10%の食塩水を作るには塩を何g入れればよいか?
この問題は「水の公式」を使うと簡単です。10%の食塩水の「水の濃度」は100-10=90%です。
➊水の濃度=100-塩の濃度
❷水の重さ=全体の重さ-塩の重さ
❸全体の重さ=水の重さ÷水の濃度100
水の公式❸全体=水÷水の濃度100 の「水」に360を「水の濃度」に90を入れて計算すると「全体」=360÷90100=400gなので、塩の重さは400-360=40gと分かります。
(別解)
食塩水にこだわらず割合で考えると、水90%,塩10%ということは、塩は水の1/9です。したがって360×1/9=40gと分かります

これで問題を解く準備が終了しました。
いよいよ問題を解いてみます。
要素の増減
出来上がっている食塩水に何かの変化を加える問題です。
変化前と変化後の2つのビーカー図を矢印でむすんだ図を書いて、公式を使います
水を加える
食塩水に真水を加えて薄める(濃度を低くする)場合です。
全体の重さは増えますが、塩の重さが変わらないことに注意してビーカー図を書き、公式を使います
濃度Bは「塩全体+加えた水×100」で求められる
濃度を求める問題
10%の食塩水120gが入ったビーカーAに水80gを入れると何%になるか
まずAの塩の重さを出しておくと、120x10100=12gです
前の食塩水全体が120gで加えた水が80gなので、後の食塩水全体は200g。塩は変わらず12gです。
水80gを入れる
水を加える前後で変わらない
ここで「濃度=塩全体x100」の公式を使って、後の濃度は12200x100=6%です。
加えた水を求める問題
9%の食塩水120gを3%にするには何gの水を入れたらよいか
塩の重さは120x9100=12 x 910(あとで約分するので、10.8に直さずわざとこのままにしておきます。)
水を加えた後も塩の重さは変わらず、濃度は3%なので、全体の重さは「全体=塩÷濃度100」の公式を使って、12 x 910÷3100=12 x 9 x10010 x 3
=360gと分かります。
水を入れたら3%になった
水を加える前後で変わらない
水を加える前が120g、後が360gなので、加えた水は360-120=240gです。
水を蒸発させる
食塩水を煮ると水だけが減り濃度が高くなります(煮詰める)。
塩の重さが変わらな いことに注意してビーカー図を書き、公式を使います。
濃度Bは「塩全体-蒸発させた水×100」で求める
濃度を求める問題
2%の食塩水1000gを煮て400gにすると濃度は何%になるか?
まずAの塩の重さを出しておくと、1000x2100=20gです
煮詰めた後の食塩水が400g、塩は変わらず20gなので、
後の濃度は、濃度の公式「濃度=塩全体x100」を使って20400x100=5%です。
蒸発させた水を求める問題
3%の食塩水600gを煮詰めたら9%になった。水を何g蒸発させたか?
塩の重さは600x3100=18gです。
水を蒸発させた後も塩の重さは変わらず18g、濃度は9%なので、蒸発させた後の全体の重さは「全体=塩÷濃度100」の公式を使って、18÷9100=200gと分かります。
水を蒸発させる前が600g、後が200gなので、蒸発させた水は600-200=400gです。
前の濃度を求める問題
濃度不明の270gの食塩水から水を120g蒸発させたら濃度が18%になった。はじめの濃度は何%だったか
塩を加える
塩を加えて濃度を高くします。
水の重さが変わらないことに注意して
「水の重さ÷100-B100」で全体+Yを求める
濃度を求める
例
10%の食塩水300gに塩75gを加えると何%になるか
初めの塩は300x10100=30g
ここに塩75gを加えると、全体375g、塩105gになるので、濃度=105375x100=28%になる
塩を求める
12%の食塩水200gに食塩を何g加えると20%の食塩水になりますか
ビーカー図を書いて、初めの塩の重さは24gと分かりますが、基本公式ではもう計算ができそうにありません
この場合は全体の重さも塩の重さも増えてしまうので、「基本(塩の)の公式」は使えません。
一方、水の重さは変わりません。そこで「水の公式」を使います。
➊水の濃度=100-塩の濃度
❷水の重さ=全体の重さ-塩の重さ
❸全体の重さ=水の重さ÷水の濃度100
はじめの水の量200-24=176gは塩を混ぜた後も変わらず、濃度が20%になる=「水の濃度」は80%になるということなので、
塩を加えた後の全体=176÷80100=220gで、加えた塩は220-200=20gと分かりました。
面積図やてんびん図を使うやり方
ビーカー図で解けるのであまり必要ではありませんが、面積図や「てんびん図」でも解くことは出来ます。
水を加える場合は、「濃度0%の食塩水との混合」と考え
塩を加える場合は、「濃度100%の食塩水との混合」と考えます
この後、詳しく述べます(→ジャンプ)。
食塩水の混合
濃度が異なる2つ以上の食塩水を混ぜる問題です。ここからが本番です。
一回混合をビーカー図で解く
基本的な問題は、ビーカー図を丁寧にかけば解けるので、まずはビーカー図を書きましょう。
濃度は和にならないのに注意する
混合後の濃度を求める
例えば「6%の食塩水200gと8%の食塩水600gを混ぜ合わせると何%になるか」という問題です。
ビーカー図を書きながら塩の重さを出すと、12gと48gなので、
混ぜ合わせてできるのは全体の重さが200+600=800g、塩の重さが12+48=60g の食塩水なので
濃度は60800x100=7.5% と分かります。
混合前の濃度を求める
2%300gの食塩水Aに150gの食塩水Bを混ぜたら4%になった。Bの濃度を求めよ
2%の食塩水の塩を出しながら、ビーカー図を書きます
合わさった食塩水の全体は450gなので塩の重さは18gです
そこから「さかのぼって」150gの食塩水に含まれていた塩が18-6=12gと分かるので、濃度も8%と求められます
一回混合を「発展した図」で解く
ただ、ビーカー図は無敵ではありません。
例えば「8%の食塩水□gと12%の食塩水240gを混ぜ合わせると11%の食塩水になった。□を求めなさい」という問題です。
ビーカー図を書いても
((ビーカー図))
8%の食塩水の全体が分からないので塩の重さも分からず、□が出ませんね。
このように全体の重さ(または塩の重さ)が書いていない時は「面積図」か「てんびん図」を使います。
面積図(比を習う前)
平均算で書いた面積図と同じ考え方ですので、習っていない・忘れた人は参考記事「平均算」内の面積図をまず読んで下さい。
一つの長方形の横の長さが「食塩水の重さ」縦の長さが「濃度(%)」で面積は「塩の重さx100」を表します。
((図))
塩の重さがx100になるのが嫌な人は、縦の長さに濃度(%)ではなく割合を使って下さい(25%→0.25にする)。ただ大抵の場合は濃度を出すので、このままで良いでしょう。
((図))
2つの長方形をくっつけてから、平らに均(なら)した時の高さが「混ぜてできる濃度」になります。
((図))
この考え方で先程の問題を解いてみます。
「8%の食塩水□gと12%の食塩水240gを混ぜ合わせると11%の食塩水になった。□を求めなさい」
てんびん図(比を習った後)
面積図よりも直感的で便利な図が「てんびん図」です。
((図))
これは理科でならう「てんびん」の考え方を使っています。例えば「支点から6cmの位置に20gのおもりがぶら下げてある時、支点から10cmの位置に何gのおもりを下げればつりあうか」という問題では、支点からの距離と重りの重さが逆比になることを使うと簡単に解けます。
これを食塩水でも利用するのが「てんびん図」です
もとの食塩水の「重さの比」が逆比になる
この考え方でさっきの問題を解いてみます。
「8%の食塩水□gと12%の食塩水240gを混ぜ合わせると11%の食塩水になった。□を求めなさい」
重さの比は➀:➂になる。
240=➂より➀は80gと分かる
2回以上の混合
2回以上混ぜ合わせる場合は、分かりやすい図を書くのが大切です。以前学習した「やり取り算」を思い出すと良いでしょう。
点線マル内に数値を書きます
まず、図だけを各練習を繰り返すのが良いでしょう。
例えば「」の場合の図を書いてみます。
(2021.2.11作成中)
練習問題で定着♪
確認テスト(作成中)
食塩水の置き換え
食塩水の一部を捨てて(分けて)、同じ量の別の食塩水(水)を入れる問題です。
ビーカー図の書き方
水で置き換え
他の食塩水で置き換え
食塩水のやり取り
二種類以上の食塩水の間で食塩水を交換する(やり取り)する問題。
「やり取り算」を思い出してビーカー図を書きます。ビーカー図だけで解けてしまうこともあります。
もしビーカー図だけでは解けないなら、面積図やてんびん図を使います。
やり取り算の考え方
はじめに準備した食塩水同志でやり取りしているだけなので、塩の量も水の量も合計は変わりません。
特に「塩の量が変わらない」ことを使うと解けることが多いです(隠された条件)
基本問題(ビーカー図のみ)
応用問題(面積図、天びん図)
体積の問題
体積が数値に入っている場合
「水に食塩を混ぜても体積は変わらない」という条件がある(頌栄2020-1)
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保管セクション
rerere
矢印図
→3つの数が「A×B=C」の関係にある時に、
矢印の向きに沿って「A」「B」「C」を並べた図
(例)「2×3=6」の矢印図


➊さきの数(6)=もとの数(2)×矢の数(3)
❷矢の数(3)=さきの数(6)÷もとの数(2)
❸もとの数(2)=さきの数(6)÷矢の数(3)
れれれ
(15%の食塩水300gに含まれる塩)
(15%の食塩水300g)
(3つの数が右下にまとまっている)
れれれ
➊矢の数=さきの数÷もとの数
❷さきの数=もとの数×矢の数
❸もとの数=さきの数÷矢の数
➊濃さの割合=塩の重さ÷食塩水全体の重さ
❷塩の重さ=全体の重さ×濃さの割合
❸全体の重さ=塩の重さ÷濃さの割合
れれれ
➊濃度=塩の重さ食塩水全体の重さ×100
❷塩の重さ=全体の重さ×濃度100
❸全体の重さ=塩の重さ÷濃度100

れれれ
図1:水に注目したビーカー図
説明書き
れれれ
➊水の濃度=100-塩の濃度
❷水の重さ=全体の重さ-塩の重さ
❸全体の重さ=水の重さ÷水の濃度100
れれれ