中学受験生で「分数は得意!」という方、分数の応用問題にチャレンジしてみましょう!
この記事は、東大卒講師歴20年の図解講師「そうちゃ」が分数の応用問題を分かりやすく説明します。
記事を読んで問題を解けば、分数の応用問題の解き方をマスターできますよ♪
誤:「分子が同じなので、分子が小さいものを選んで」
正:「分子が同じなので、分母が小さいものを選んで」
混乱してしまった方に心よりお詫び申し上げます。
たけちゃん@2PLbx2J6OadHnEl」様よりご指摘を頂きました。ありがとうございました。
約分すると~になる…問題
コツは…
「約分すると~になる…分数」という問題を解くコツはたった一つ!
約分すると23になる分数
→「➁③」と表して線分図(分配算)の問題にする
これだけで、和差算・分配算の問題にすることができます。
例えば、約分すると23になる分数の一つ 2030は約分する前の形に直すと10×210×3になります。同じように46は2×22×3に、69は3×23×3にというように、約分すると23になる分数は皆●×2●×3という形になり、分配算で使った➀➁等の丸数字を使って「➁③」と表せます。(分母と分子が3:2の比の関係にある)
(例)約分すると23になる分数は…
分母●●●
「➁③」と表せる!
このコツを使って問題を解いて行きます。(和差算や分配算を知らない・忘れたという方は関連記事「和差算」「分配算」を見て下さい)
分母と分子の和
約分する前の分母と分子の和が示される問題
1-1:約分すると…和
解説
まず「約分すると23になる」なので「➁③」と表せます。
次に「分子と分母の和」つまり➁+③=⑤が75なので、線分図にするとこうなります。
約分すると23で分子と分母の和が75
➁③
⑤=75より➀=75÷5=15 と分かる
➀=75÷5=15なので、分母③=15×3=45、分子➁=15×2=30 から、答えは3045です。
確認テストをどうぞ
分子と分母の和が56で約分すると35になる分数は?
→約分すると35になる分数は( 「③⑤」 )と表せる。
→( ⑤+③=⑧=56なので、➀=56÷8=7 )
→( 分母⑤=7×5=35、分子③=7×3=21 、答えは2135 )
分母と分子の差
約分する前の分母と分子の差が与えられる問題です
1-2:約分すると…差
解答
まず「約分すると25になる」なので「➁⑤」と表せます。
次に「分子と分母の差」つまり⑤-➁=③が21なので、線分図にすると下のようになります。
約分すると25で分子と分母の差が21
➁⑤
➂=21→➀=21÷3=7 と分かる
➀=21÷3=7なので、分子➁=7×2=14、分母⑤=7×5=35、 から、答えは1435です。
確認テストをどうぞ
分子と分母の差が45で約分すると27になる分数は?
→約分すると27になる分数は( ➁⑦ )と表せる。
→( ⑦-➁=⑤=45なので、➀=45÷5=9 )
→( 分母⑤=9×7=63、分子③=9×2=18 、答えは1863 )
どちらかを加減して約分
約分する前に分子か分母に加減をする問題
1-3:約分すると…加減
解答
まず「約分すると25」なので「➁⑤」。
➁は分子=8で、⑤は「分母に3を加えた数」=分母+3なので、線分図にすると…
分子は8で分母に3加えて約分すると25
分子8分母+3
➁⑤
➁=8なので➀=8÷2=4と分かる
➀は8÷2=4、⑤=4×5=20=分母+3なので、分母は20-3=17とわかります。答えは817です。
確認テストをどうぞ
分子と分母の差が45で約分すると27になる分数は?
→約分すると27になる分数は( ➁⑦ )と表せる。
→( ⑦-➁=⑤=45なので、➀=45÷5=9 )
→( 分母⑤=9×7=63、分子③=9×2=18 、答えは1863 )
分数の大小比較
3つのタイプがあって、それぞれ解法があります
●分母か分子が等しい分数
→等しく無い方を比較
●分母も分子も等しくない分数
→通分して比較
●分数と小数を比較
→小数に直して比較
順番に見ていきます。
分母か分子が等しい
●分母が等しい
分子が大きければ、分数全体も大きい
→分子が小さい順に並べれば答えになる
●分子が等しい
分母が小さければ、分数全体も大きい
→分母が大きい順に並べれば答えになる
確認テストをどうぞ
一番大きい分数はどれですか?
①(511、111、311)
→( 分母が同じなので、分子が大きいものを選んで、511 )
②(29、25、213)
→( 分子が同じなので、分母が小さいものを選んで、25 )
分母も分子も違う分数
1321と1635のように分母も分子も等しくない場合は…まず通分して分母をそろえてから分子を比較します。
21と35の最小公倍数は105なので105に通分します。(公倍数の求め方を忘れた人は「公倍数の求め方(書き出し)」か「二数のはしご算」を見て下さい)
分母も分子も等しくない場合→通分して分子を比べる。
1321と1635 → 45105と48105 → 1321<1635
分数と小数の比較→小数にそろえる
3番目のパターン「分数と小数の比較」は小数にそろえます
→分数を小数に直して比べる
(割り切れなくても大小が分かれば良い)
例:0.3と13の大小を比べる
13=1÷3=3.333→「0.3<13」
0.17と16と213を小さい順に並べなさい
→( C=213=2÷13=0.15 、Bは16=1÷6=0.166… )
→( 213<16<0.17 )
分数と小数の比較をじっくり読みたい解きたい人は姉妹サイト「そうちゃ式 別館」の「小数と分数」を見て下さい。
範囲内の分数
2つの分数で示される範囲内にある分数を求める問題。
「すべて求めよ」等と書いていない場合、答えは1つの分数です。
簡単に通分できる問題
こんな問題です
3-1:範囲内の分数A
「分母が36」と言われているので、12と59の分母を36に通分して、その間にある分数を考えれば分かりそうですね。
実際に解いてみましょう
3-1:範囲内の分数A
ヒント
範囲を示す2つの分数を36に通分して分子を観察し、間にくる分数を求める
解答
12→1836、59→2036
「12より大きく59より小さい、分母が36の分数」は「1836より大きく2036より小さい、分母が36の分数」なので、1936が答えになる
練習問題(2022.6.21作成中)
簡単に通分できない問題
こういう問題です。
3-2:範囲内の分数B
先ほどと同じように分母を72に通分しようとすると、14は簡単ですが、311の方は72÷11=6.5454…で割り切れないので分母を整数倍しても72にはなりません…
ただ、この場合は範囲が分かりさえすれば良いので、この「6.5454…」という割り切れない数の少数第一位までを「6.5~(6.5ナンチャラ)」として取り出し、計算では6.5として使いましょう(概数として使用している)
311の分子3を「6.5」倍すると19.5になるので、311を分母72の分数にすると19.5~72(72ぶんの19.5ナンチャラ)になります。これで範囲は分かります。
では実際に解いてみましょう。
3-2:範囲内の分数B
ヒント
分母を整数倍できない場合は、分子を小数第一位までの概数(およその数)倍してみる
解説
14を分母72にすると1872(分子分母を18倍)
311を分母72にすると、72÷11=6.5454…なので、3×6.5=19.5より、だいたい19.572=19.5~72(72ぶんの19.5ナンチャラ)になる。
したがって、「14と311の間にあって分母が72の分数」は「1872と19.5~72
の間で分母が72の分数」と等しくなります。
数直線をイメージすると18と19.5~(19.5ナンチャラ)の間にある整数は19だけなので、求める分数は1972です。
練習問題(2020.6.21作成中)
範囲内の(既約)分数の個数
既約分数(これ以上約分できない分数)の個数を出す問題。2つのタイプがあって解法が少し異なります。
- 1未満(以下)の既約分数の個数の問題
→「分母の素因数」の公倍数の個数の問題 - 範囲内の既約分数の個数の問題
→分母を通分してそろえて、実際に約分する
1未満の既約分数の個数
例えばこんな問題です。
4-1:1未満の既約分数の個数
解説
「分母が36で1より小さい既約分数の個数」とは、136,236…3436,3536の中で約分できない分数の個数です。
まず、分母が36で約分できる分数はどのような分数か考えます。
分母の36=2×2×3×3と素因数分解できるので、分子が「2」か「3」の倍数になっていれば約分ができます。
そして、136から3536までの分数の分子は1から35まで連続しているので、結局1から35までの数のうち、2か3どちらの倍数にもなっていない数の個数を求めれば答えになるのですね。
これは集合算の問題としてベン図を使って解きましたね。
((ベン図))
1から35までの数のうち、2の倍数は35÷2=17個(A)、3の倍数は35÷3=11個(B)、2と3の公倍数つまり6の倍数の個数は35÷6=5個(C)なので、2と3どちらの倍数でもない数(D)の数は、35-(17+11-5)=12個と分かります。
これがそのまま136…3536の間にある既約分数の個数になります。
(ちなみに、この12個は136,536,736,1136,1336,1736,1936,2336,2536,2936,3136,3536です)
確認テストをどうぞ
(2021.3.10作成中)
範囲内の既約分数
分数Aから分数Bの間にある分母が(分子が)Cの既約分数の個数を求める問題です。
簡単に通分できる場合
例えば、こういう問題です。
4-2-1:範囲内の既約分数の個数
解説
まず範囲を示す分数の16と34の分母を12に通分して、212と912にします。
これで「212と912の間にある分母が12の既約分数の個数を求めよ」という問題になりました。
数が少ないので実際に書き出して約分し、残ったものの数をかぞえれば答えになります。
調べると、312,412,512,612,712,812のうち約分できないのは512と712の2個と分かりました。
確認テスト
(作成中)
簡単に通分できない場合
難しいのは通分が普通にはできない次のような問題です。
4-2-2:範囲内の既約分数の個数
解説
さっきと同様に、16と34の分母を18に通分すると、16の方は単純に318になります。
しかし、34は分母を18にするには分数倍(92倍)しないといけないので、分子も分数倍すると272になってしまいます。
このままだと解きづらいので、これを小数に直すと27÷2=13.5にすると、「318より大きく13.518より小さい分母が18の既約分数の個数を求めよ」という問題に直せました。
あとはさっきと同じように書き出して通分して残ったもののを数えます。
調べると、418,518,618,718,818,918,1018,1118,1218,1318のうち約分できないのは518,718,1118,1318の4個と分かりました。
確認テスト
(2021.3.10作成中)
分子を指定される場合
分子をそろえるパターンもあります
分子が等しい場合の分数の並びに注意しましょう。
こうなります
これに注意して問題を解きます。
4-2-3:範囲内の既約分数の個数
分子を21にそろえると、35=2135、79=2127になる。
2135より大きく2127より小さい分数は2134,2133,2132,2131,2130,2129,2128の7つ
このうち約分できないものは、2134,2132,2131,2129の4個
確認テストをどうぞ
(2021.3.10作成中)
場合の数の問題
数字カードから2枚を選んで分数を作る場合の既約分数が何通りできるか求める問題
例題
確認テスト
単位分数(1/N)の和にする問題
与えられた分数を単位分数(12,13,14など分子が1の分数)に直す問題です。
2つの和に直す
例題で解き方を理解して下さい
5-1:単位分数の和にする
コツ
コツはX=2,3,4…と増やしながら検討していくこと
解答
X=2だとすると、問題を1021=12+1Yと表せて、さらに通分すると2042=2142+1Yと直せます。
この式の等号(=)の左右をよく見比べると、おかしなことに気づきます(よね?)
そうです。右にある2142がすでに左の2042より大きいのです。
つまりこの式は絶対に成り立たない式なので、最初のX=2が間違っていたと分かります。
そこで、次はX=3とします。
問題は1021=13+1Yと表せて、さらに通分すると1021=721+1Yと直せます。
今度の式は等号(=)の左が右より大きくなっているので、このまま進めても大丈夫です♪
1Y=1021–721=321で、約分すると1Y=
17なので、Y=7と分かりました。
以上より、問題の式は1021=13+17と表せて、X=3,Y=7になります。
このように、ちょっと面倒くさいですが、コツコツと調べれば答えが出ます。
2022年版の新解法1021=1X+1Yとあらわす時のXYを求めよ
1Xや1Yは分母を21(の倍数)にそろえて足し算するので、XやYは21の約数だろうと想像できますね
そして、21の約数(で1以外のもの)は 3,7,21 なので 13,17,121のうちの2つの足し算に直せないか、21に通分して考えます
13=721 , 17=321 , 121の分子を見比べると、7+3=10なので、13+17=1021 になると気づきました
→MN=1A+1Bのとき、
Nの約数の中から、Nに通分したときの
分子の和がMになる組み合わせA,Bを探す
(例)1021=1X+1Y →21の約数は3,7,21
→13=721 , 17=321 , 121のうち
分子の和が10になる3と7がA,B
(→1021=13+17 ということ)
5-1:単位分数の和にする
解説
X=2だと415=12+1Yを通分して830=1530+1Yで等号の右が多いのでダメ
X=3だと415=13+1Yから1245=1545+1Yでやはりダメ
X=4だと415=14+1Yで通分して1660=1560+1Yで
1Y=1660–1560=160
と求められる。
よって415=14+160となり、X=4,Y=60が答え
裏技
Xを速く調べたい場合、415を分子が1になるように約分(分子分母を÷4)すると13.75になることから、X=3(1X=13=515)までは415より大きいので調べるまでもなくダメと判断できる。
3つの和に直す
3つの単位分数の和に直す問題も考え方は同じです。
5-2:三つの単位分数の和に
方針
まずはXから…
解答
→X=2だとすると、問題を2940=12+1Y+1Z さらに2940=2040+1Y+1Z と直せる
これは等号(=)の左右を比べてもおかしくなく、 1Y+1Z=2940–2040=940と表せます
これでX=2として、次は「940=1Y+1Z とあらわす時のYZを求めよ」という問題を解けば良くなります。
今度はYを2,3,4と増やしながら検討します。
まずY=2とすると940=12+1Z で通分すると940=2040+1Z
になり、等号(=)の右が左より大きくなっていてアウト。Y=2が間違っています。
次にY=3では940=13+1Z で通分すると27120=40120+1Z
になるので、これもアウト。
Y=4でも940=14+1Z →940=1040+1Z でアウト(面倒くさい!…)
Y=5でようやく940=15+1Z →940=840+1Zになって、1Z =140でZ=40と分かりました。
以上より、2940=12+15+140 と表すことができて、X=2,Y=5,Z=40 と分かりました!
裏技
この問題でもYを速く調べたい場合、940を分子が1になるように約分(分子分母を÷9)すると14.44…になることから、Y=4(1Y=14=1040)までは1040より大きいので調べるまでもなくダメと判断できる。
「2つの和に直す」問題を2回解くような感じですね。
確認テスト(2022.1.16作成中)
分数の分割による計算の工夫(キセル算)
例えばこんな問題です。
6-1:分数計算の分割
素直な人は分母のかけ算を計算して通分して…と考えますが、それは大変…
コツは「12×3」を「12-13」に変形して隣の式と打ち消すことです。
6-1:分数計算の分割
解説
最初の分数12×3=32×3-22×3=12-13と変形できます
2番目も同じように13×4=43×4-33×4=13-14と変形できます。
この調子で4つ全部を変形すると
12×3+13×4+14×5+15×6=(12-13)+(13-14)+(14-15)+(15-16)になります
この式を見て何か気づきませんか?
そうですね。カッコを外すと、途中の分数は隣同士で差し引き0になって消えてしまいます。
12-13+13-14+14-15+15-16
=12-13+13-14+14-15+15-16
=12-16 最初と最後だけが残りました。
これを計算して
12-16=36-16=26=12が答えです。
パズルゲームのようで面白いですね(よね?)
練習問題
整数化の問題
分数にかけたり割ったりするとちょうど整数になる数を求める問題。
1つの分数
かけ算
例題4(かけ算すると整数になる)
「整数になる=分母が1」ということ
分数×整数なので、23×■=2×■3になります。
これが整数になるのは2×■3=2×□1というふうに分母が1になる時です。
分母が1になるには3と■を約分しないといけません(3と2は約分できませんね?)。3を約分するのですから3で割るということです(上の図の□は■を3で割った答えです)。
つまり■は3で割り切れる数、3,6,9等の3の倍数ということです。3の倍数になる
割り算
2つの分数
公約数・公倍数の問題になります
確認テスト
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