素因数分解の応用問題を解きたい」という中学受験生の方へ
東大卒講師歴20年の図解講師「そうちゃ」が分かりやすく説明します。
記事を読んで真似すれば、素因数の応用問題が苦手ではなくなるでしょう♪
素因数分解(復習)
素因数分解のやり方
「二分解式」と「すだれ算」の2つのやり方があります。
→素数になるまでどんどん分解する方法
60=6×10=2×3×2×5
=2×2×3×5←小さい順に並べ直して完成
約数の個数を素因数分解から求める
詳しくは「(公)約数倍数まとめ」内の「約数の個数」を見て下さい。
素因数分解の構成を考える問題
例えばこんな問題です。
素因数分解の構成
図解
この問題はAを考えればBが分かります。
まず600を素因数分解すると2×2×2×3×5×5なので、A×600=A×2×2×2×3×5×5 と直せます。素因数が2,3,5の三種類あるのが分かりました。
ところで、B×B×Bのように同じ数を三回かけた数は、素因数分解するとBを作る素因数3つずつのかけ算になります。
(例:6×6×6)
6×6×6
=(2×3)×(2×3)×(2×3)
=(2×2×2)×(3×3×3)
よって、さっきの A×600=A×2×2×2×3×5×5 も素因数3つずつのかけ算になるはずです。
すでにある2,3,5を減らすことはできないので、2,3,5を増やして3つずつにした (2×2×2)×(3×3×3)×(5×5×5)=2×2×2×3×3×3×5×5×5 なら良さそうです。
問題の A×600=A×2×2×2×3×5×5と今作った良さげな形「2×2×2×3×3×3×5×5×5」を並べてみましょう。
問題文の形:A×2×2×2×3×5×5
良さげな形:2×2×2×3×3×3×5×5×5
問題文の形の方が素因数が少なく見えます。数えると「3」が2つと「5」が1つ少ないです。
➀問題文の形:A×2×2×2×3×5×5
②良さげな形:2×2×2×3×3×3×5×5×5
(➀に無いものを緑にした)
➀と②は等しいので、足りなく見える「3」が2つと「5」はAに含まれていたのでした。つまりA=3×3×5 ということです。
➀問題文の形:A×2×2×2×3×5×5
➀Aを変える:3×3×5×2×2×2×3×5×5
②良さげな形:2×2×2×3×3×3×5×5×5
②B×B×B形:(2×3×5)×(2×3×5)×(2×3×5)
②を「B×B×B」の形に直すと(2×3×5)×(2×3×5)×(2×3×5)になります。この(2×3×5)=30=Bになります。
補足説明
これで答えは出たのですが、問題文に「最小の」とあるのは何故でしょうか?
実は条件を満たすBというかAはいくらでも作ることが出来るのです。
例えば、A=3×3×5 でしたが、さらに素因数を加えてA=3×3×5×7×7×7とする場合を考えます。
A×600=3×3×5×7×7×7×2×2×2×3×5×5 = 2×2×2×3×3×3×5×5×5×7×7×7」= という風に3つずつのかけ算になるのでB×B×Bの形にすると(2×3×5×7)×(2×3×5×7)×(2×3×5×7)になり、(2×3×5×7)=210=B もOKになります。
同じ調子で「×7×7×7」だけではなく「×2×2×2」や「×3×3×3」を加えた場合もOKになります。
つまり、素因数を3回かけたものを加えていけばいくらでも答えが作れるのですね。
そこで設問文章に「最小の」という条件が加わっているのです。
分かりましたね?では確認テストをどうぞ
確認テスト(2021.2.11作成中)
割り切れる回数を求める
例えばこんな問題です
割り切れる回数(1)
「1680を2で割っていくと何回割り切れるか」
「2で割り切れる数」は2の倍数ですが(→参考記事「倍数の基礎」)割り切れる回数はどうやって決まるのでしょうか?
試しに「6」「7」「8」を2で割ってみると…
「6」6÷2=3(1回目) 3÷2=X(割り切れない)→1回
「7」7÷2=☓(割り切れない)→0回
「8」8÷2=4(1回目) 4÷2=2(2回目) 2÷2=1(3回目) 1÷2=☓(割り切れない)→3回
この「1」「0」「3」という回数がどこから来ているか素因数分解をすると分かります。
数 | 素因数分解の結果 | 2で割り切れる回数 |
6 | 2×3 | 1 |
7 | 7 | 0 |
8 | 2×2×2 | 3 |
わかりましたね。素因数分解したときの「2」の個数で決まるのでした!
ある数Nを素数Aで割り切れる回数
=Nを素因数分解した時のAの個数
(例)6,7,8を2で何回割り切れるか
6=2×3 →1回
7(素数) →0回
8=2×2×2 →3回
この考え方で例題を解きます。
割り切れる回数(1)
解説
「2で割り切れる回数=素因数分解した時の「2」の個数」です。
1680を素因数分解すると 2×2×2×2×3×5×7 です。
「2」が4つ入っているので、2で4回割り切れます。
上の問題を少し複雑にしたこんな問題もあります。
割り切れる回数(2)
10は素因数分解すると10=2×5 なので、10で一回割り切れるためには「2」と「5」が両方揃っていないといけません。
したがって10で割り切れる回数は「2&5」セットの個数で決まります。
この考え方で問題を解いてみましょう
割り切れる回数(2)
解説
1から75までの整数をすべてかけた 1×2×3×…×74×75 を素因数分解した中に「2&5」のセットがどれくらい入っているか考えます。
かけ算される75個の数の約半分が2の倍数(偶数)であるのに対し5の倍数はそこまで多くないので、素因数分解すると「5」の方が「2」よりも少ないと考えられます。
1×2×3×4×5×6×7×8×9×10×11×12×…
したがって「2&5」セットの数は少ない「5」の数をかぞえれば分かります(男性100人女性3人のパーティーで成立する男女のカップルは3組です)
まず1から75までの間に5の倍数がいくつあるか計算すると75÷5=15個なので「5」の数は15個と思うかもしれませんが「5」はまだあるのです!
数え方の注意
例えば5の倍数の中でも25,50,75の25の倍数には「5」が2個ずつ含まれていますが、これらは先程は1個ずつしか数えられていません。数え残しが3個あったのです。
➀5
5
5
5
5
➀5
5
5
5
➁5
5
⑮5
③5
5が3個(25の倍数の個数)数え残されていた
この図より「5」は15+3=18個あり「2&5」のセットも18個あるので、10で割り切れる回数も18回と分かりますね。
分かりましたか?確認テストをどうぞ
確認テスト
1から175までの整数をすべてかけた数を10で割ると何回割り切れるか
1から175までに5の倍数は35個、25の倍数は7個、125の倍数の倍数は1個あるので、5,25,125の倍数と「5」の個数を図にするとこうなります。
➀5
➄5
➀5
➅5
⑩5
➁5
⑪5
㉔5
㉕5
➄5
➀5
㉞5
㉟5
⑦5
5は25の倍数の個数と同じ7個
5は125の倍数の個数と同じ1個
この図より「5」は35+7+1=43個あり「2&5」のセットも43個あるので、10で割り切れる回数も43回と分かりますね
末尾の0の個数を求める
例えばこんな問題です。
末尾に並ぶ0の個数A
ヒント
「末尾に0が並ぶ」というのは、百なら「100」なので2個、十万なら「100000」なので5個並んでいるということです。
これは何回10をかけたか、つまり10で何回割り切れるかと同じ意味なので、上で解いた問題と同じく素因数分解したときに「2&10」のセットがいくつできるかということですね。
そして、この問題でも「2」より「5」の数の方が少なそうなので、素因数分解した時の「5」の個数を調べれば良いですね。
解説
1から50までに5の倍数は50÷5=10個、25(5×5)の倍数は50÷25=2個、125(5×5×5)の倍数はない。
➀5
②5
⑤5
➀5
⑨5
⑩5
②5
5は25の倍数の個数と同じ2個
「5」は10+2=12個あり、10で12回割り切れて、末尾に並ぶ0の数も12個と分かりました。
確認テストをどうぞ
(確認テスト作成中)
似た問題として、場合の数と組み合わせたような問題があります。
末尾に並ぶ0の数B
解説
2,4,5を1回ずつ使ってできる3ケタの数は「245」「254」「425」「452」「524」「542」の6通り。
これらをかけた数の末尾に並ぶ「0」の数は「2&5」セットの数=「5」の数
6通りの数のうち5の倍数は「245」と「425」なので、この中の「5」の数をカウントすればよい。
素因数分解すると、245=5×7×7、425=5×5×17 で「5」は3個入っている
5
5
5
×452
×524
5は25の倍数の個数と同じ1個
合計して3個の「5」がある
したがって、末尾に並ぶ「0」は3個と分かる
素因数分解の応用は以上です!
オススメ教材
歴史の点数を上げたい受験生と保護者の方へ
年表・年号・地図・書き取りテストなど400枚のプリントがセットになった歴史教材で模試入試対策♪ 興味がある方はコチラへ
2023年度生徒さん募集
2023年度の生徒さんの募集を開始しました(対面授業の一次募集)
東武野田線・伊勢崎線沿線にお住まいの新5年生で予習シリーズをベースにされている方が対象です。
詳しくはコチラのページを御覧下さい
新4年生の方を対象に学習相談/授業を実施します(サピックス新越谷校・南浦和校・大宮校の方が対象。締め切り2/1)。応募はコチラから
中学受験でお悩みの方へ
受験に関する悩みはつきませんね。「中学受験と高校受験とどちらがいいの?」「塾の選び方は?」「途中から塾に入っても大丈夫?」「塾の成績・クラスが下がった…」「志望校の過去問が出来ない…」など
様々なお悩みへのアドバイスを記事にまとめたので参考にして下さい。
自分だけで悩んでいると煮詰まってしまい、事態を改善できないかもしないこともあるでしょう…
そんな時は、講師経験20年の「そうちゃ」に相談してみませんか?対面/オンラインの授業/学習相談を受け付けているので、ご利用下さい。
この記事があなたの役に立てたなら嬉しいです!