「等差数列がよく分からない…苦手」という中学受験生の方、もしかしたら多くの事を覚えようとし過ぎなのかもしれませんよ。
実は、たった3~4個の公式で数列の半分以上の問題は解けてしまうのです。だから、その3~4個の公式と使い方をしっかり覚えるのが大切です。
この記事では東大卒講師歴20年の図解講師「そうちゃ」が数列の最重要項目と公式・その使い方を分かりやすく説明します。
記事を読みながら練習問題を解いていけば数列が苦手ではなくなるのは間違いなし!もしかしたら得意になっているかもしれませんよ!
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数列入門(~小3)
低学年のうちに数字を並べて書くことに慣れておくと、きっと数列が得意になりますよ!!
倍数を書いてみる
まず、かけ算の九九を延長して倍数の列を書いてみると良いでしょう。
3, 6, 9,12,15,18,21,24,27,30
33,36,39,42,45,48,51,54,57,60
……
10個並べたら改行する。
はじめの20個を書きながら縦・横のリズムをつかみます。(横に3ずつ・縦に30ずつ増えているのが分かります)
途中の省略を覚えて、100番目・200番目も書けるようになったらOKです。
書き方の例は参考記事「数列入門」を見て下さい。
等差数列を書いてみる
はじめの数を決めて、それに同じ数を足していきます。
3ずつ増えていく数列
5, 8,11,14,17,20,23,26,29,32
35,38,41,44,47,50,53,56,59,62
……
10個並べたら改行する。
これもはじめの20個を書きながら縦・横のリズムをつかんだら途中の省略を覚えて、100番目・200番目も書けるようになったらOKです。
等差数列の基本(受験小4)
中学受験を始めた小4のお子さんが対象ですが、小さい整数を使えば小3からの受験準備にも使えますよ♪
等差数列の意味
等差数列は等しい差で増えていく(減っていく)数字の列です。
=「はじめの数」から「等しい差(公差)」で増えていく
数字の並び
数列を見たら「差」と「番目」を書いて等差数列か見分けます。
上の図を見ると、等差数列には4つの要素があるのが分かります。
①「はじめの数」…上の図の「2」
②「公差」…等しく増えていく数。上の図の「3」
③「N」(「番目」)…上の図の丸数字
④「N番目の数」…「2」「5」「8」と並んでいる数字そのもの
等差数列の基本問題は、この4つのどれかを聞かれるクイズだと思えばよいでしょう。
「N番目の数」を求める
「はじめの数」と「公差」が分かれば「N番目の数」が自由に求められます。
この公式は絶対に覚えましょう!

★N番目の数=初めの数+{公差×(N-1)}
(例)10番目の数=2+{3×(10-1)}=29
「公差」が「数字の個数=N」より1つ少ないことに注意します。
例えば3番目の数(N=3)は「はじめの数」に「公差」を3-2=2回プラスしたものです。
等差数列「1,4,7…」の8番目の数は?
→はじめの数+{公差×(N-1)}=( 1+{3×(8-1)}=22 )
等差数列「4,9,14…」の21番目の数は?
→はじめの数+{公差×(N-1)}=( 4+{5×(21-1)}=104 )
詳しい説明や応用問題が解きたい人は「等差数列とは?N番目の数の出し方」を見て下さい。
なお、この記事の一番下でプリントをダウンロードできます。
Nを求める
上とは反対に、ある数字が数列の何番目か=Nを求めることもできます。
ある数が数列のN番目の数である時
●数列での番目(N)
={N番目の数–はじめの数)÷公差}+1
==↑{…}は公差の回数を表す↑
(例)数列2,5,8…の32は何番目か?
→{(32–2)÷3}+1=11番目
「数字の個数=何番目か=N」は「公差」よりも1つ多いことに気をつけます。例えば「はじめの数」に「公差」を2回足した数は3番目の数です(N=3)。
この公式は、算数が得意な人は覚えなくても大丈夫です。苦手な人は覚えましょう。
80は数列「2,5,8…」の何番目ですか?
→公差の回数=(N番目の数–はじめの数)÷公差
=( (80–2)÷3=24 )回
→80は( 24+1=25 )番目
391は数列「11,20,29…」の何番目ですか?
→公差の回数は( {(391–11)÷9}=42 )回
→391は( 42+1=43 )番目
詳しい説明が読みたい・応用問題を解きたい人は「等差数列上の位置(N)を求めるには?」を見て下さい。
この記事の一番下でプリントをダウンロードできます。
公差を求める
数列の途中が抜けていても、数字が2個書いてあれば公差を求めることができます♪
=(N番目の数-はじめの数)÷(Nー1)
*(Nー1)が公差の回数になっています。
(例)等差数列「4,◯,◯,◯,32…」の公差?
→5番目の数が32,はじめの数なので、(32-4)÷(5-1)=7
公式自体を暗記しなくても問題が解ければOKです!
詳しい説明が読みたい人は「数列の初項・公差を求めるには?」を見て下さい
この記事の一番下でプリントをダウンロードできます。
初めの数を求める
はじめの数が分からない場合も、求めることができれば基本はカンペキです。
=N番目の数-{公差×(Nー1)}
*(Nー1)が公差の個数になっている
(例)等差数列「○,○,26,○,42」の「はじめの数」は?
→公差は(42-26)÷2=8
→はじめの数は26-{8×(3-1)}=10
公式を覚えずとも問題が解ければOKです。
詳しい説明が見たい人は「」を見て下さい。「数列の初項・公差を求めるには?」
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数列の和(受験小4)
等差数列の「はじめの数」から「N番目の数」までの合計(和)を次の公式で求めることができます。
この公式は絶対に覚えてください。
等差数列の和=(はじめの数+N番目の数)×N÷2
(問題を解く手順)
- はじめの数、公差、N(合計を求める個数)を確認
- N番目の数を はじめの数+{公差×(N-1)} で求める
- 数列の和を (はじめの数+N番目の数)×N÷2 で求める
確認テストをどうぞ
等差数列「5,16,27…」のはじめの数から14番目の数までの和は?
→14番目の数は( 5+{11×(14-1)}=148 )
→合計は( (5+148)×14÷2=1071 )
2,9,16,23,30…という数列がある。50番目までの数の合計は?
→50番目の数を求めると( 2+7×(50-1)=345 )
→50番目までの合計は( (2+345)×50÷2=347×25=8675 )
はじめから520までの数を足すといくつになるか?
→520の番目(N)を求めると( (520–2)÷7+1=75番目 )
→520までの合計を求めると( (2+520)×75÷2=522÷2×75=261×75=19575 )
詳しい説明が見たい人、もっと問題を解きたい人は「等差数列の和の求め方は?」を見て下さい。
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等差以外の数列
数列を見たら「差」を書き込んで等差数列か確かめます。もし差が等しくない(等差数列でない)場合は、次のような数列か調べてみましょう。
階差数列
差が等差数列になっている数列。(ときどき入試に出ます)
このあと詳しく説明します
フィボナッチ数列
1,2,3,5,8,13…
①1+②2=➂3、②2+➂3=④5、のように2つの和で3つ目を決めていく数列。(→ウィキペディアの説明)
たまに入試で出ます。
等比数列
1,2,4,8,16,32…
①1×2=②4、②2×2=➂4、➂4×2=④8、のように次々に何倍かしていく数列
入試にはあまり?出ません。
階差数列の利用(受験小5)
等差数列ではない(差が等しくはない)が、差を並べてみると等差数列になっているような数列は公式が使えます。
(差を並べてできる数列が「階差数列」です)
この公式は覚えましょう!
差が等差数列(B)になる数列AのN番目
=Aのはじめの数+Bの(N-1)番目までの和
(例:A④=A①(1)+B①~B③の和(1+4+7=12)=13
*B④ではなくB③までなのがポイント!
確認テストをどうぞ
「6,7,9,12,16」という数列の13番目はいくつか?
→(もとの数列(A)の差を並べると「1,2,3,4…」という等差数列(B)になっている。Aの13番目=Aのはじめ+(Bの1番目から12番目までの和)=6+(1+2+3+…+12)=6+(1+12)×12÷2=6+78=84 )
「5,8,13,20,29…」という数列の27番目はいくつか?
→(もとの数列(A)の差を並べると「3,5,7…」という等差数列(B)になっている。Aの27番目=Aのはじめ+(Bの1番目から26番目までの和)。Bの26番目は3+2×(26-1)=53なので、Aの27番目=5+(3+53)×26÷2=5+754=759 )
問題を解きたい人は関連記事「階差数列の利用」を見て下さい。
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並行数列(受験小5)
二種類の数列が並んだり混じったりしている問題です。
分数の数列
分数の分母と分子がそれぞれ二種類の数列になっています。
約分があるのに気をつけて表にして(イメージして)解きます。
問題を解きたい人は関連記事「分数数列」を見て下さい。
暗示的な並行数列
一見、並行していると分からない場合です。
表などにして考えます。
二種類の数列が混じって並んでいる場合
→それぞれの数列を二段の表に分けてペア番号で考える。
(例) (男)1 (女)3 (男)4 (女)5 (男)7 (女)7 (男)10 (女)9 …
と並んでいる場合の前から15番目は?
ペア番号 | 1 | 2 | 3 | … | N | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
男子 | ①1 | ③4 | ⑤7 | … | 前から(N×2-1)番目 | |||
女子 | ②3 | ④5 | ⑥7 | … | 前から(N×2)番目 |
→男子は「はじめ1公差3」女子は「はじめ3公差2」の等差数列
→男子はペア番号×2-1(奇数)、女子はペア番号×2(偶数)
→前から15番目は15=8×2-1より8番ペアの男子で、
その番号は「はじめ1公差3」の等差数列の8番目
=1+3×(8-1)=22番
問題を解きたい人は関連記事「隠れた並行数列」を見て下さい。
群(グループ)数列(受験小5)
グループに分かれている数列です。周期算に出てきた三種類の番号を意識すると簡単になります。
これがラクに解くコツです。
周期算を復習したい人は参考記事「周期算の公式・解き方まとめ」を見てください。
等差数列を元にする連続型
等差数列をグループに分けたもの
等分
(2,4),(6,8),(10,12)…
Q.第10グループの合計はいくつか?
→第N番グループの右の数は4×N、左の数はそれから2引いたものになっている。
→第10グループは(38,40)なので合計は78
不等分
(2),(4,6),(8,10,12)…
Q.第7グループの前から3番目の数はいくつか?
→第N番グループの最後(右端)の数は(1+2+…+N)×2になっている。
→第6グループの最後の数は(1+2+…+6)×2=42、そこから右に3つ進むと第7グループの3番目になる。
→ 42),(44,46,48…
Q.第10グループの合計はいくつか?
→第9グループの最後は(1+2+…+9)×2=90 なので第10グループの最初(左端)は、92。
→第10グループは10個の数が並び、初めの数92公差2の等差数列なのでグループ最後(右端)の数は92+2×(10-1)=110
→第10グループの合計は(92+110)×10÷2=1010
等差数列でない連続型
倍数を除いた並び
(例)3と4の倍数を除いた数列
1,2,5,7,10,11,13,14,17,19,22,23,…
Q1.40番目の数はいくつか?
→この数列は3と4の最小公倍数12で割った余りが1,2,5,7,10,11になる6個の数の周期になり、第N番グループの数は12×(N-1)に+1,+2,+5,+7,+10,+11 したものになっている。
→40番目の数は40÷6=6…4より第7グループの4番目なので、12×(7-1)+7=79
Q2.119は何番目の数か?
→119÷12=9…11 より、あるグループの最後と分かる。
→N番グループの最後とすると、12×(N-1)+11=119
なのでこの逆算を解いてN=10。第10グループの最後と分かった。
→119は6×10+0=60番目
断続型
整数
2,2,4,2,4,6,2,4,6,8
分数
11,12,22,13,23,33,14,24,34,44…
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=「はじめの数」から「等しい差(公差)」で増えていく
数字の並び
数列を見たら

★N番目の数=初めの数+{公差×(N-1)}
(例)10番目の数=2+{3×(10-1)}=29
れれれ